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2021 年度 実績報告書

構造学的アプローチによる燃料デブリ固溶体の溶解挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H02664
研究機関京都大学

研究代表者

小林 大志  京都大学, 工学研究科, 准教授 (80630269)

研究分担者 松村 大樹  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (30425566)
池田 篤史  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究主幹 (40530001)
元川 竜平  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (50414579)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードジルコニウム / セリウム / 酸化物固溶体 / X線回折 / XANES / EXAFS / 溶解度
研究実績の概要

前年度に調製したジルコニウム‐セリウム酸化物固溶体を試料溶液に浸漬し、浸漬前後の詳細な固相分析を行うとともに、Zr、Ce溶解度を測定した。ZrおよびCe母溶液を7:3のモル比で混合し、固溶体を調製した場合、X線回折パターンのリートベルト解析およびXANES/EXAFSスペクトルの主成分分析から、固相は正方晶のZrO2をベースとする固溶体、立方晶のCeO2をベースとする固溶体および少量の単斜晶ZrO2から成る混合物であることが分かった。この混合物固相を酸化還元剤を含まない酸性から中性pHの試料溶液に浸漬した場合、固相状態はほとんど変化しなかったが、還元剤を含む試料溶液に浸漬したところ、正方晶のZrO2に含まれるCeおよび立方晶のCeO2に含まれるZrの割合がそれぞれ低下する傾向が見られた。一方、ZrおよびCe母溶液を3:7のモル比で混合し、固溶体を調製した場合、固相は立方晶のCeO2をベースとする固溶体および正方晶のZrO2の混合物と考えられた。この混合物固相の場合、還元剤の有無に関わらず、試料溶液への浸漬による固相組成に顕著な変化は見られなかった。還元剤を含む試料溶液中では、CeがCe(III)に還元されることによって溶解が進行するが、正方晶のZrO2固溶体に含まれるCeの溶解性が高く、固相組成に変化をもたらしたと考えられた。また、それぞれの混合物固相の溶解度を測定すると、正方晶のZrO2固溶体を含む固相のZr溶解度が含まない場合に比べて高く、固相分析を支持する結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ジルコニウム‐セリウム酸化物固溶体の混合物に対して、XRDのリートベルト解析とXANES/EXAFSの主成分分析を組み合わせることにより、試料溶液に浸漬前後の詳細な固相分析を実施し、得られた結果はZrおよびCe溶解度と良く整合している。

今後の研究の推進方策

Zr-Ce酸化物固溶体については、前年度に実施した固相分析および溶解度実験から、特に還元剤を添加したときに、固相に含まれるCeが還元されることで、固相組成や溶解挙動が大きく変化することが分かっている。今後は、溶解挙動を表すモデルの提案を目指して還元剤を含む追加の試料を調製し、浸漬前後の結晶構造解析および溶解度測定を行う。また、U‐Zr酸化物固溶体の調製を新たに行い、溶解度実験を行うとともに、浸漬前後の固相のX線回折パターンを取得し、結晶構造や格子定数など固相状態を明らかにする。浸漬前後におけるマルチスケールでの固相状態の変化から、Zr-Ce酸化物固溶体やU‐Zr酸化物固溶体を含む混合物固相の溶解挙動を解釈するモデルを提案する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Zr,Ce酸化物固溶体の固相分析と溶解挙動に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤侑太郎,小林大志,佐々木隆之、池田 篤史,松村 大樹,元川 竜平
    • 学会等名
      日本原子力学会 2022年春の年会

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公開日: 2022-12-28  

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