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2020 年度 実績報告書

準安定Zr水素化物の合成による水素化物析出・脆化挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H02666
研究機関大阪大学

研究代表者

牟田 浩明  大阪大学, 工学研究科, 招へい教授 (60362670)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード燃料被覆管 / 水素化物
研究実績の概要

軽水炉燃料被覆管の主要な健全性低下要因として、水素脆化があげられる。被覆管の主要成分であるジルコニウムの水素化物には、準安定相であるγ相、安定なδ相とε相があり、それぞれ水素化物の析出過程と被覆管の脆化に関わっている。本研究ではこれまで報告例のないバルク準安定γ相水素化物の合成・評価、また単結晶δ相水素化物の合成と物性の結晶方位依存性の評価に基づき、被覆管の水素化過程の解明ならびに水素脆化のより正確な定量的評価を行うことを目的とする。これまで培ってきた水素化物作製技術を活かし、物性評価が可能なサイズのγ相水素化物を合成するほか、著しい結晶面依存性を示すδ相水素化物の機械的特性を評価する。
準安定γ相ジルコニウム水素化物の合成のため、本年度は所有するジーベルツ装置の一部を変更し、高温で水素ガスを吸収させたのち、急冷・熱処理を試みた。室温でのEBSD観察の結果、厚さ10μm程度のγ相水素化物が金属ジルコニウム相とδ相水素化物の間に形成されていることが確認できた。特に急冷条件に依存して厚さが変化する傾向が得られている。またδ相水素化物の評価においては、破面観察を行い(111)および(110)がへき開面であることを確かめた。続いて単結晶水素化物の合成に取り組み、出発物質として単結晶金属ジルコニウムなどを用いて水素化条件の調整を試み、ミリメートルサイズの粒径を持たせることができた。物性評価に用いることができる形状および配向性の調整に現在取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

あげた項目のうち、準安定γ相Zr水素化物の合成には概ね成功している。封入容器の調整などにより次年度の物性評価に取り組める予定である。単結晶δ相Zr水素化物の合成については大粒径化に成功するに留まり、単結晶といえる試料が出来ておらず、次年度の機械的特性評価に遅れが生じているが、全体としては概ね順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

より物性評価を容易とするためのγ相水素化物の大型化については、急冷条件に依存するという今年度得られた知見をもとに、封入容器を石英から金属製のものに変更するなどして対応する。その後微小押し込み試験による機械的特性評価、相変態温度、比熱容量の測定などを進める。δ相Zr水素化物については3点曲げ試験用アタッチメントを購入し、試験準備を進めるほか、その測定用の大粒径Zr水素化物試料の調整を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Zr水素化物の破面観察2020

    • 著者名/発表者名
      實延 秀明、大石 佑治、牟田 浩明
    • 学会等名
      日本原子力学会 2020年秋の大会

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公開日: 2021-12-27  

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