本研究では200℃以下の低温排熱による高温側熱源と、外気による低温側熱源の温度差でCO2ハイドレート熱サイクルを運転した際に、熱サイクルから得られる仕事を用いて発電効率20%以上のエネルギー変換の方法の開発を目標としている。これまでの研究で得られた提案システムのエネルギーフローから、提案システムの発電効率は9.2%を達成している。提案システムではガスハイドレート生成過程と膨張機での損失が大きく、本研究により、ガスハイドレート生成過程の効率を11.5%、膨張機での損失を8.5%低減させることを目的としている。 本年度は昨年度の繰り越し課題と、計画していた従来の課題を進めた。昨年度計画していたが、新型コロナウィルス対策による研究の制限から進められなかった課題は、CO2ハイドレートの高圧解離ガス電力に変換するアクチュエータの運転最適化である。これについては、市販されているCO2ヒートポンプ用のスクロール型膨張機に、提案システムの熱サイクルを適用した際の状態量を確認して、改善すべき項目を明らかにした。市販の圧縮機を膨張機として使用すると、特に比容積の状態が異なるため、最も高い膨張機効率を達成する際の、膨張機と接続する熱交換器の仕様(容積、伝熱面積、触媒量)を確認し、さらにガスハイドレートの生成量及び解離量を、熱源からの熱供給量で制御する方法)を開発した。上で述べた方法により、膨張機システムの効率を従来の83.5%から87%に向上できた。 また、本研究プロジェクトの成果を国際会議及び国内の学術講演会で発表した。
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