研究課題
基盤研究(B)
高分子系複合材料の軽くて強い特長を活かしきる組立技術として接着が期待されている。接着メカニズムにはマクロスケールから分子レベルに至る様々な物理・化学現象が関与し、マクロな視点の接着界面の研究については多くの知見が蓄積されてきた。一方、接着強度に大きく影響する分子レベルの接着メカニズムの理解は限定的である。本研究課題では、放射光を用いた軟X線顕微鏡を接着界面観察に適用し、接着界面の物理的・化学的状態の可視化に取り組んだ。その結果、サブμmレベルの複雑な界面構造、官能基分布、分子レベルでの共有結合形成など、接着メカニズムにおけるマルチスケール現象の観察に成功した。
物理化学
様々な工業製品の実装において接着は製品の性能や寿命を決める問題として広く認識されている。本課題で得られた研究成果を実験を実施したSPring-8を通じてプレスリリースを行った結果、様々な企業から本研究で確立した方法論についての問い合わせを受けている。このプレスリリースの内容は工業系の商業誌「月刊JETI, 2023年5月号」でも紹介されている。さらに、各種学会での招待講演の依頼もきており、学術的にも社会的にも波及効果のある成果が得られたと考えている。