研究課題
本研究課題では,複雑・複合系の強相関電子状態を精密に記述する新しい基礎理論の開発を行い,表面量子状態が重要となる不均一系触媒の触媒作用や光機能システム系の物性発現の微視的メカニズムを解明し,その知見に基づいて不均一系触媒および光機能システム系の設計・制御に取り組んだ。2022年度は下記の研究を実施し,研究発表で示す研究成果を得た。(1)燃料電池の負極には白金電極が用いられるが,酸素還元反応はPtをナノ粒子化することにより活性化される。グラフェン上のPtクラスターの吸着安定構造を決定し,酸素還元反応のエネルギー・プロファイルや過電圧を理論的に明らかにした。さらに,グラフェン上のPt-CoやPt-Tbなど合金微粒子の構造や電荷分布,酸素還元反応の活性を検討した。(2)担持微粒子触媒の構造や電子状態,触媒活性点,触媒サイクルに関する基礎研究を実施した。Au/Fe2O3ではC-O結合ボリル化が高効率で進行する。反応分子や中間体のAu, Fe2O3, Au/Fe2O3における吸着エネルギーを比較し,高活性な反応性の要因について調査した。(3)光物性の測定・計算の逆問題に基づく独自の量子逆設計理論をさらに発展させ,分子-金属ナノ粒子系の局在表面プラズモンなどの大規模系に適用できるように方法を拡張した。この方法を分子-金属ナノ粒子系に適用し,吸着分子の分子種・空間配置,入射場,さらにナノ粒子の金属種・金属形状を最適化することに成功した。(4)単層カーボンナノチューブ(SWNT)の化学修飾による近赤外光発光の波長制御の研究を,実験と協力して推進した。特にキラル角の異なるSWNTの光学特性の計測が進展したため,光学特性と置換位置の相関について解析した。さらに環状のアルキル基やフルオロアルキル基を用いた場合に近赤外領域に発光が得られることについて実験と協力して明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 5件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 9件) 備考 (2件)
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