研究課題
ホウ素触媒と光照射の組み合わせを利用したカルボン酸α位アリル化反応の開発を行った。とくに、α位4級炭素の構築に焦点を置き、ホウ素触媒の配位子検討を詳細に行った。BINOL型の配位子が良好な反応性を示していたことから類似の配位子を種々合成して検討したところ、ピレン骨格をもったビスピレノールを配位子とした際に最も良好に反応が進行することが分かった。塩基の選択も重要であり、DBUを用いた際に特異的に高い反応性を示した。最終的にアリル化剤の当量、反応温度、DBUの当量を詳細に検討し最適反応条件を見出し、基質適用範囲の検討を行った。アリル化反応の最適化、基質一般性の検討と並行してα位アミノ化反応の検討を行ったところ、ヒドロキシアミンから簡便に合成できるアミノ化剤を用いることによって青色LED照射下において収率は低いながらも反応が進行することがわかった。青色LEDの照射がないと、反応は全く進行しないことから、光による励起を経たラジカル反応であることが示唆される。得られる生成物はαアミノ酸であり、本反応は入手容易なカルボン酸から有用なアミノ酸を一挙に合成できる初めての触媒反応である。収率向上のため、まず、アミノ化剤の脱離基を立体障害、電子的要因を考慮して種々検討したところ、良好な反応性を示すアミノ化剤を見出した。さらにアリル化反応において蓄積した種々の配位子を用いて検討を行うと、アミノ化反応でもBINOL型の配位子を用いた際に良好な収率で生成物を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
カルボン酸α位ラジカルを活性種としたα位アリル化の最適化を終了し、新たにα位アミノ化反応の進行を確認した。ラジカル活性種によるカルボン酸修飾反応の開発という点で、研究は順調に進んでいると評価できる
これまでに見出した光駆動型カルボン酸α位アリル化反応の不斉反応への展開を検討する。すでに初期的結果として中程度のエナンチオ選択性で反応が進行しているため、これを基盤に、不斉配位子の構造修飾を中心として検討を行う。また、反応の進行が確認できたα位アミノ化反応について最適化を進める。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
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