研究課題/領域番号 |
20H02738
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 哲晶 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30374698)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カルボン酸 / ロジウム / 炭素-水素結合活性化 / 分子内カルベン挿入反応 |
研究実績の概要 |
本申請課題では,遠隔位を修飾した配位子を開発し,その立体効果によって温和な条件で炭素-水素 (C-H) 結合活性化反応を進行させること目的として研究を進めている.これまでに,パラジウム触媒による炭素-水素結合活性化反応において,かさ高いカルボキシラト配位子が有効に機能することを明らかにしている. 今回我々は,かさ高いカルボキシラト配位子を有する複核ロジウム錯体の反応性に着目し,いくつかのかさ高いカルボン酸を設計・合成し,それらを有する複核ロジウム錯体の合成に成功した.こらら錯体の分子構造は,単結晶X線結晶構造解析により明らかにすることができた.その結果,かさ高いカルボキシラト配位子を有するロジウム錯体は,配位子同士の立体反発により錯体が少し歪んだ構造をとることが分かった.一方で,ロジウム周りには反応基質を取り込むだけの十分な空間をもつことも分かった.そこで,これらの錯体を触媒とする分子内カルベン挿入反応による環状化合物の合成を検討したところ,適切な立体構造をもつロジウム触媒を用いたときに,小さなカルボキシラト配位子を有するロジウム錯体とは異なる化学選択性で環化生成物が得られることを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
かさ高いカルボキシラト配位子を有する複核ロジウム錯体の合成と単離に成功し,それらの触媒としての機能について基礎的知見を得ることができた.一方で,今回得られた触媒機能の要因については解明できておらず,実験・計算の両面から早期に解明する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
今回合成に成功した複核ロジウム錯体を触媒とする分子間カルベン挿入反応を検討し,基質のサイズ選択性や反応点周りの立体による化学選択性の発現を目指す.また,不安定中間体として知られているロジウムカルベン錯体の単離と単結晶X線構造解析に挑戦する.さらに,反応機構に関する知見を得るため,DFT計算による解析を行う.
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