研究課題
基盤研究(B)
本研究では、トリアゾールを反応剤とする合成手法を用いた環化3量化反応を鍵に、チオフェン環をシクロプロパンで挟んだC3対称性を持つ環状[3]チエニレンシクロプロピレン(チオフェン環そのものの非対称性、すなわち硫黄原子の位置の違いにより不斉誘起された新規螺旋型化合物)を不斉合成しました。様々な組み合わせを試みたところ、置換様式によって環化3量化や環化2量化反応が進行することを見出しました。また、新たな光学活性シクロファンとしてテトラマー([4]CPPC-CHO)の合成を行いました。
有機合成化学
「C3対称性」を持つシクロファンは一般に合成が難しく、研究が立ち後れているのが現状であります。本研究では、触媒反応により「C3対称性」を持つ[3]CPPC を不斉合成し、この光学活性体を用いて様々な応用展開を行いました。未だ基礎研究の範疇を超えるものではありませんが、キラルな構造とキラルな構造が与える物性には興味が尽きず、本研究が機能性材料の開発において新しい設計指針を与えることになればと期待しています。