触媒的な物質合成は現在の物質社会を担う鍵技術の一つである。従来法においては、パラジウムや白金などの貴金属触媒が用いられている。一方、鉄に代表される3d金属は豊富に存在するため安価で入手容易な金属であるため、貴金属代替として有望であるが、貴金属類と類似の触媒機能の発現は困難であった。本研究では、鉄中心に対し有機ケイ素部位を配位として導入し「鉄―ケイ素結合反応場」を構築・活用することで、従来貴金属触媒により実現されてきた結合活性化が鉄触媒においても可能となることを見出した。すなわち貴金属代替となる普遍金属触媒の開発に向けた新概念を確立し、次世代型の省資源な物質変換法の開発に向けた基盤を構築した。
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