研究課題/領域番号 |
20H02753
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
直田 健 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20164113)
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研究分担者 |
川守田 創一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00708472)
鈴木 修一 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (80433291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | りん光 / 白金錯体 / ラジカル / 固体発光 / 凝集状態 |
研究実績の概要 |
本研究では、異方的分子運動性とそれに伴う柔軟πおよびd-π共役を有する有機、有機金属化合物を構築し、その運動性と電子特性とを会合集合制御を介して外部要因で制御することで、色、蛍光、りん光発光のON-OFF制御やその他の物性発現を達成する新しい方法論の開拓を目的としている。そのために、(1) 柔軟なπおよびd-π共役の拡張と収縮に伴う異方的分子運動性と会合特性を有する多様な運動性3次元分子を設計し、(2) その運動性と会合・集合特性の基礎研究の中から重要なポイントを抽出して、これまでにない光電子特性を引き出すことを目指す。 本年度は2報の国際誌への投稿、14件の国内学会参加(オンライン開催)によって研究成果を発信することができた。 本年の研究実績の一つとして、trans-ビス(サリチルアルジミナト)パラジウム(II)錯体を柔軟かつ十分長いアルキル鎖で2箇所連結した、水車型2核パラジウム錯体において触媒量のキラルな酸の添加による立体化学の制御に関する研究がWiley社の国際研究誌であるEuropean Journal of Inorganic Chemistry誌に掲載された。また、N-ブチル-N’-メチルジヒドロフェナジンラジカルカチオンの固液相転移を利用した近赤外吸収特性と諸物性の熱履歴現象に関する研究がWiley社の国際研究誌であるAngewante Chemie, International Edition誌に掲載された。 物質・材料研究機構の有賀克彦教授との共同研究による気水界面上に分子を並べた単分子膜内で光物性制御においても興味深い研究成果が得られている。現在公表に向けての準備中であるが、光学活性な分子集合を力学的な力で制御可能な金属錯体の特異な凝集状態の作成と評価について大きな進展があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で設計、合成された異方的分子運動性を有する有機分子、および金属錯体に昨年度から継続で得られた研究成果が、高濃度、ゲル化状態、気水界面、ワックス状態など様々な凝集状態において特異な性質の発現が見られ、さらなる展開が期待されるため、おおむね順調と判断できる。 コロナ禍における学会活動もオンラインを利用するなど積極的な研究発信も継続できており、概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、これまでに得られた異方的分子運動性を有する有機分子、および金属錯体の特異な刺激応答性光物性制御について、包括的に理解し研究をまとめる作業を行っていく。特に、近年注目される非線形光物性の制御として円二色性(CD)や円偏光発光(CPL)特性の制御を我々の異方的分子運動性分子の設計技術の応用として積極的に研究していく。
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