研究課題/領域番号 |
20H02757
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
有川 康弘 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30346936)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多電子還元 / 還元サイクル / 硫黄 / オキソアニオン / 二核錯体 / 金属酵素 / ピラゾリルボラト / ルテニウム |
研究実績の概要 |
自然界では、金属酵素が小分子の活性化を、常温/常圧という条件下でいとも簡単に行っている。これら金属酵素の作用から学び、その機能を模倣することは非常に意義深い。我々はこれまで金属酵素の機能モデルとして、一酸化窒素(NO)分子やそのオキソアニオンである亜硝酸イオン(NO2 -)の還元サイクルを達成している。 これらの還元サイクルは、同じピラゾラト架橋二核ルテニウム錯体を用いることで成功している。この二核錯体反応場を用いれば、他のオキソアニオンの還元サイクルも可能なのか、ということに興味を持った。そこで、まず硫黄のオキソアニオンである亜硫酸イオン(SO3 2-)に着目し、亜硫酸還元酵素の機能(SO3 2- + 8H+ + 6e- → H2S + 3H2O)を模倣し、亜硫酸イオン還元サイクルの達成を目標とする。さらに、他のオキソアニオンの多電子還元にも挑戦する。 本年度は、亜硫酸イオンから一酸化硫黄への4プロトン4電子還元と一酸化硫黄からスルフィドへの2プロトン2電子還元反応を精査した。一段階目の還元反応は、スムーズに進行し一酸化硫黄架橋錯体への変換を達成した。しかし、二段階目の還元反応は、目的とするスルフィド架橋錯体ではなく、ジスルフィド架橋錯体が得られた。スルフィド架橋錯体が中間体として考えられるため、別途合成に成功しているスルフィド架橋錯体を用いて、反応機構について調べる必要がある。また、これら一連の研究を行っている中で、これまでの一酸化硫黄架橋錯体とは異なる異性体の錯体の合成にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、亜硫酸還元酵素の機能である亜硫酸イオン(SO3 2-)から硫化水素への変換(SO3 2- + 8H+ + 6e- → H2S + 3H2O)を合成化学的に達成させることである。本年度の計画では、亜硫酸イオンから一酸化硫黄への4プロトン4電子還元と一酸化硫黄からスルフィドへの2プロトン2電子還元反応を精査することである。一段階目の還元反応は、目的通り進行したが、二段階目の還元反応は、目的とするスルフィド架橋錯体ではなく、ジスルフィド架橋錯体であった。しかし、この反応の中間体としてスルフィド架橋錯体が考えられるため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
二核ルテニウム錯体を用いた亜硫酸イオン還元サイクルを達成させるため、亜硫酸イオンから一酸化硫黄への還元と一酸化硫黄からスルフィドへの還元反応を精査した。 これまで、亜硫酸イオンから一酸化硫黄への4プロトン4電子還元と一酸化硫黄からジスルフィドへの2プロトン2電子還元反応が達成できた。目的とするスルフィド架橋錯体ではなく、ジスルフィド架橋錯体が得られたため、ジスルフィド架橋錯体の生成機構について調査する。また、最後のステップであるジスルフィド架橋錯体から亜硫酸イオン架橋錯体への変換について調査する。さらに、発生する硫化水素の検出も行う。
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