研究実績の概要 |
A型インフルエンザウイルスRNAプロモーター領域及びリボソームRNA A-siteは、阻害剤開発の重要なターゲットとなっている。本研究では、ペプチド核酸(PNA)による三重鎖核酸形成に着目することで、RNA結合タンパクに匹敵する結合力と結合選択性、さらには深赤色蛍光検出機能を併せ持つRNA結合リガンドを開発、阻害剤開発支援のための蛍光インジケーターとしての有用性を実証する。さらに、阻害剤そのものとしての機能を評価するとともに、ウイルスRNA検出プローブとしての活用法を提案・実証する。以上により、生命科学研究に資する新しいRNA解析・制御技術の創成を目指す。 本研究で提案するプローブ設計の最大の独自性は、「ループ部位結合」と「三重鎖核酸形成」を併用することにあり、実際、これにより単なる三重鎖核酸形成PNAでは達成し得ない優れた機能が発現することを見出した。令和2年度の研究実績の概要は下記のようになる。 (a)リボソームRNA A-siteに対しては、独自に開発したナフチリジン誘導体(Chem. Eur. J. 2018, 24, 13862-13870)をループ部位結合分子として活用することで、阻害剤スクリーニング(FID法)における蛍光インジケーターの開発に成功した(Chem. Commun., 2020, 56, 14976-14979)。この研究成果は、英国王立化学会速報誌(Chem. Commun.)の表紙としてハイライトされた。 (b) A型インフルエンザウイルスRNAプロモーター領域に対しては、キナゾリン-2,4-ジアミン誘導体(M.-K. Lee et al., Chem. Commun. 2014, 50, 368-370)をループ部位結合分子として活用することで、世界最強レベルの結合力を有する結合リガンドの開発に成功した(特願2020-129884)。
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