研究課題/領域番号 |
20H02766
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
金田 隆 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20243909)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エキソソーム / レーザー励起蛍光法 / 放出機構 / 抗原抗体反応 / 高感度分析 / CD63 / キャピラリー電気泳動 / がん細胞 |
研究実績の概要 |
エキソソームは細胞間のコミュニケーション、がん転移に関連し、がんのバイオマーカーとしての利用やその機能解明が期待されている。そこで本研究では、新たに開発した高感度エキソソーム計測装置を利用して、エキソソームの放出に影響を与える因子について検討し、放出機構を解明することを目的としている。令和2年度には、細胞培養培地のpHがエキソソーム放出に与える影響について検討した。培地にpH緩衝剤を添加し、pHを7.05から8.96まで変化させ、細胞増殖の状況とエキソソーム放出量の関係について調査した。まず、pH調整のための緩衝剤について検討を行ったところ、BicineとMESは細胞毒性が低く、細胞の増殖に対する影響が小さいことがわかった。そこで、これらの緩衝剤を用いてpHを調製し、各pHにおいて細胞培養時間を変化させ、各時間におけるエキソソーム放出量を計測した。細胞増殖に関しては、緩衝剤を加えないpH 8.88の培地が最も増殖が速かったが、pH 8.96を除いては、いずれも6日以内に100%まで増殖した。一方、各pHにおける細胞内pHを測定したところ、培地のpHとは無関係に細胞内pHは7.5付近でほぼ一定であった。細胞が100%まで増殖した後に、細胞から放出されたエキソソーム量を測定した結果、エキソソーム量はpHが低くなるにつれて増加する傾向が見られた。しかしながら、現段階ではエキソソームのカウント数が不十分であるため、優位の差があると判断できない状況である。したがって、測定の処理速度を向上させ、エキソソームの測定数を増加させる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
pHがエキソソーム放出に影響を与えることを示唆する結果が得られたことから、pHがエキソソーム放出機構に関与していることを明らかにすることができた。よって、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
pHがエキソソーム放出に影響を与えることが示唆されたため、この機構についてより詳細に検討する。また、細胞がエキソソームを取り込むかどうかを明らかにするために、蛍光標識したエキソソームを調製し、これを細胞培養培地に添加して、エキソソームの取り込みの有無について検討する。
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