研究課題
小惑星リユウグウから採取された試料を対象とし,複数のXRF手法を複合的かつ相補的に活用することで,軽元素から重元素までリユウグウの詳細な化学組成を非破壊で解明することに成功した。その結果、既存の炭素質コンドライト隕石との組成的関連が明らかになり、リユウグウの起源を明らかにすることに貢献できた。分析化学的には本研究により,組成が不均一で微量な固体粉末試料の化学組成を非破壊で定量する技術を開発できた.WD-XRFでは微量かつ非加圧の粉末試料の分析技術を確立した.酸素を定量することで水を含む試料の元素含有率を総合的に把握できることを示した。EDX-XRFでは検出器の窓にグラフェンを使うことで、今まで測ることが難しかった炭素を検量線法で定量し微量粉末試料中の炭素の定量分析技術を開発できた。SR-XRFでは,SPring-8の2つのビームラインにおいて異なるエネルギーの励起X線を用いた相補的な測定を行うことで,32元素を定量の対象とし,そのうち17元素について定量値を得た。いずれのXRFにおいても,非破壊的な方法で実施されたにも関わらず,優れた精確さを持つ分析であったことが実証された。XRFでは、電子線励起のXMA分析に比べて高真空を必要とせず、励起ビームによるダメージが少ない非破壊分析ができる。FP法による今回の定量方法は,水分量を別途把握することなく含水試料の分析が可能で、幅広い地質系試料に適用できるXRF分析の新たな地平をひらくことができた。蛍光X線による軽元素の分析技術の開発は、カーボンニュートラルな世界の実現にも貢献する分析技術であろう。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件)
Science
巻: 379 ページ: -
10.1126/science.abn7850
The Astrophysical Journal Letters
巻: 946 ページ: L43~L43
10.3847/2041-8213/acc393
Analytical Sciences
巻: - ページ: -
10.1007/s44211-023-00333-5
Science Advances
巻: 8 ページ: -
10.1126/sciadv.ade2067
Nature Astronomy
巻: 7 ページ: 182~189
10.1038/s41550-022-01846-1
Geochemical Perspectives Letters
巻: 24 ページ: 1~6
10.7185/geochemlet.2238
巻: 935 ページ: L3~L3
10.3847/2041-8213/ac83bd