今年度は水環境における未規制物質の発生源を考察するため古紙製品中の増感剤および防腐剤の調査に取り組んだ。古紙製品は国内外のトイレットペーパー9製品を調査対象とした。分析は酢酸エチル抽出成分についてガスクロマトグラフ質量分析計を使用した。防腐剤は分析感度を高めるためトリメチルシリル誘導体化をおこなった。河川の汚染情報が不明だった増感剤は、北上川10地点で採水後、C18固相抽出成分を分析した。 はじめに増感剤の製品中総濃度は0.78~34 (平均値12 )μg/gであった。8物質を検出し、内6物質はすべての製品に含まれていた。河川中の増感剤総濃度は58~1167 (中央値 77) μg/Lで、7物質をすべての地点で検出した。古紙製品と下水処理場そばの河川水のあいだには、増感剤成分に高い相関があることを発見した。ゆえにトイレットペーパーは増感剤水質汚染の発生源の一つであることを示唆する結果となった。 続いて防腐剤の製品中総濃度は2.2~6.2(平均4.4)ng/gであった。メチルパラベン、プロピルパラベンの順に含有量は高く、この傾向は河川水に含まれる防腐剤の検出事例と一致した。イソブチルパラベンおよびエチルパラベンもすべての製品から検出した一方、イソプロピルパラベンとベンジルパラベンは未検出であった。
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