研究課題
近年、マイクロプラスチック(以下MPs)による海洋汚染が大きくクローズアップされている。その実態を解明するためにはMPの分布や動態の信頼性の高い解析やモニタリングが不可欠である。そこで本研究では、高い確度と感度で試料高分子の分析を行い得る熱分解分析法を基盤として、水圏におけるMPsの動態や分布状態を包括的に解明する画期的な分析方法を開発し、その真実を明らかにする。具体的には、1. 分析システムの超高感度・高精度化、2. 選択性向上のための特異的反応分解技術の開発、3. 複雑なデータから目的情報を抽出・解析する新規ソフトウエア開発、などの分析手法の総合的な高性能化を図る。2021年度は、実際に海洋から採取したプランクトン試料について、熱分解 GC-MS を用いて摂食された MPs の同定及び定量を試みた。その結果、適切な前処理を行うことにより、プランクトンが摂食したと考えられるポリエチレン及びポリ塩化ビニルを検出・定量することができ、採取した年代があとになるほど摂取量が大きくなる傾向も示唆された。さらに最近では,大気中に浮遊する微細化したプラスチックやゴムなどの関心が高まっていることから、熱分解GC/MSにスプリットレス導入法を組み込んで高感度化し、この手法によりエアーサンプラーを用いて異なる大きさに分けて徳島市内で2週間にわたって捕集した大気中に浮遊する粒子を直接分析した。徳島市内で2週間にわたって捕集した大気を分析したところ、ポリプロピレンなどの大気中MPsが検出されより微小な粒子(PM2.5)として多く存在する傾向が見られた。一方、自動車用タイヤ由来と考えられるスチレンブタジエンゴムは、粗大な粒子(>PM10)として多く存在する傾向にあった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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