研究課題/領域番号 |
20H02779
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大久保 敬 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00379140)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 酸化 / プラスチック / 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック / 二酸化塩素 / 光反応 / ラジカル / 酸素官能基 / 表面処理 |
研究実績の概要 |
本研究では、二酸化塩素によってポリプロピレンなどのプラスチック表面をC-H酸化することによって極性官能基を導入する技術を用いて、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Thermoplastic:CFRTP)の表面を酸化してアルミニウムの接着剤フリー接着法の開発を目指して研究を進めた。 二酸化塩素ガスを発生させたチャンバーの中にポリプロピレンおよび、炭素強化繊維強化樹脂CFRTPを静置しLEDで光照射を行った。反応後水洗いし表面IR(ATR-IR)の測定を行った。その結果1700 cm-1 と3000cm-1 にカルボニル基と水酸基に由来する吸収がそれぞれ観測され、酸素官能基が効率良く導入されることがわかった。この反応は温度、二酸化塩素濃度、光照射時間によって顕著に酸素官能基導入量が変わることもわかった。本反応は二酸化塩素への光照射によって、二酸化塩素の異性化、O-Cl結合開裂によって塩素ラジカルと一重項酸素が生成し、塩素ラジカルがCFRTPを構成する樹脂のC-H結合を開裂させ、生成する炭素中心ラジカルに酸素が導入されたと考えられる。X線光電子分光分析(XPS)、 水接触角測定の結果でも酸素官能基の導入をサポートする結果を得ることができた。本酸化処理による材料の劣化、分子量の低下などは観測されなかった。 ポリエチレン、ポリスチレンなどの汎用樹脂についても同様の結果が得られ、本手法のC-H活性化を鍵とするプラスチック表面の改質の適用範囲は非常に広いことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画で予定していた炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Thermoplastic:CFRTP)の表面酸化を達成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
樹脂の適応範囲をさらに拡げるべく研究をさらに進めていく予定である。
|