研究課題/領域番号 |
20H02787
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺島 崇矢 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70452274)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己組織化 / ランダム共重合体 / ミクロ相分離 / ラメラ構造 / ミセル |
研究実績の概要 |
本研究では、一次構造が制御された両親媒性ランダム共重合体やホモポリマーを用い、この「ポリマー側鎖の自己組織化」を鍵として、固体状でのミクロ相分離や溶液中での会合構造を精密に制御する手法を開発する。R2年度(1年目)は、親水性側鎖と疎水性・結晶性側鎖をもつ両親媒性ランダム共重合体を設計し、その固体状での結晶性やミクロ相分離挙動の評価、ならびに微細ラメラ相分離構造をもつ材料創成を検討した。分子設計指針の確立のため、親水性PEG鎖(OMe末端やOH末端)と結晶性オクタデシル基をもち、主鎖構造(アクリレート型、メタクリレート型、アクリレート/メタクリレート型、アクリルアミド型)の異なるランダム共重合体を合成し、主鎖と側鎖の構造、連鎖配列、組成などの一次構造が側鎖の結晶性とミクロ相分離に与える影響を系統的に調べた。その結果、柔軟なアクリレート主鎖に結晶性オクタデシル基と偏斥力の大きな水酸基末端型PEGの組み合わせると、側鎖が効率的に相分離して5nm程度のラメラ構造を形成することが明らかとなった。本系は、ポリマーの分子量分布が相分離挙動とそのドメイン間隔に影響を与えないため、分子量分布の広いポリマーでも微細な精密ラメラ構造を構築できる特徴をもち、革新的と言える。さらに、側鎖の設計により、ドメイン間隔を0.1 nmレベルで制御できることも見出した。これらの共重合体をシリコン基板にキャストすると、PEG層とアルキル基層が基板に対して平行に交互積層化したラメラ構造を内部にもつ薄膜を形成することも見出しており、現在その構造を詳細に解析中である。類似の両親媒性ホモポリマーを用いて、水中で球状・ロッドミセルやベシクルなどのナノ構造体を構築することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、令和3年度(2年目)に予定していた両親媒性ホモポリマーの設計と合成にも成功し、これらのポリマーが単分散ミセルやロッド状ミセルを形成することもすでに見出しており、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の計画以上に進展しており、2年目も計画の通り推進する予定である。
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