研究課題/領域番号 |
20H02788
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
寺尾 憲 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60334132)
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研究分担者 |
佐藤 尚弘 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10196248)
領木 研之 京都大学, 工学研究科, 助教 (70847102)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 環状高分子 / 星型高分子 / 温度応答性 / 光学分割 / 液晶 |
研究実績の概要 |
一般に剛直高分子は溶媒に完全に溶解させることが困難であることから、屈曲性高分子と比較してその研究は格段に少ない。特に、環状構造や長鎖分岐構造を有する非線状剛直高分子の分子形態の研究例は極めて少ない。本研究では、最近研究代表者らが発見した、非線状剛直高分子に特有ならせん構造のひずみ効果が、高分子の低分子認識能をはじめとしたさまざまな機能性に与える影響を調べることを通して、剛直な分岐・環状構造と機能性との関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 ①環状高分子濃厚溶液の液晶。これまでの研究で剛直な環状高分子濃厚溶液がリオトロピック液晶性を示すこと、そして液晶相が発現する濃度を詳細に決定し、その濃度が線状鎖にかなり近いことを明らかにした。濃厚溶液について小角―広角X線散乱測定を行ったところ、低角領域にはコレステリック構造に対応する幅広な反射のみが見られたのに対し、広角側にシャープなピークが複数みられたこと、それらの反射が線状鎖に対するものと似ていたことから、環状鎖が液晶相中で擬似的な棒状構造を取っていることが示唆された。この構造から液晶相が発現する相図も矛盾なく説明できる。 ②温度応答性多糖誘導体の創製。水溶液中で相分離挙動を示す温度応答性アミロース誘導体の合成に成功した。環状および分岐のアミロース誘導体に展開し、同じく温度変化に伴い相分離することを明らかにした。環状、及び分岐構造は主に低分子との複合体形成に影響を与えることを明らかにした。 ③多分岐多糖誘導体から合成したキラルカラム。多分岐構造を有する多糖誘導体を合成し、対応する線状鎖よりも非常にコンパクトな分子形態を持つことを明らかにした。またこの高分子からキラル分離カラムを調製した。線状鎖・環状鎖由来のカラムに近いが幾分異なる分離挙動が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①環状アミロース誘導体の液晶の研究についておおむね完了することができた ②温度応答性を持つ環状および多分岐アミロース誘導体の合成に成功し、溶液物性に関するデータもある程度収集できた。 ③キラル分離能をもつ多分岐アミロース誘導体の合成に成功し、その分子形態決定をほぼ終えることができた。また、キラル分離能についても一定の実験データが得られた
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の計画に従って遂行する
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