研究課題
本研究では、単分散ブロック共重合体(BCP)の自己組織化により各種工学的応用に求められる非対称ラメラ構造やネットワーク状相分離構造などの非古典的ミク ロ相分離構造を10 nm以下の超微細領域で発現・制御することを目的としている。さらに、この成果を基礎とすることで、既存BCPでは実現できなかった半導体回路パターンの構築やナノポーラス材料の精密構造制御などに応用することを最終目標とする。今年度は、下記の二点について重点的に検討を行った。①ネットワーク相分離構造の構築:昨年度の検討において、オリゴ糖とテルペノイドからなる単分散BCPがブロック間を繋ぐリンカー構造やテルペノイド鎖の立体化学に応じてミクロ相分離挙動が異なることを見出した。今年度はリンカー構造をベンゼン環とした場合にテルペノイド鎖の立体化学がミクロ相分離に与える影響を精査した。その結果、リンカーが脂肪族炭化水素の場合、立体化学はバルク中におけるミクロ相分離形成に大きな影響がなかったのに対し、ベンゼン環のリンカーを導入した場合では得られるミクロ相分離のモルフォロジーが明確に変化した。これらのことから、低分子量のBCPにおいてはこうしたマイナーな分子構造もナノ構造形成の制御因子となり得ることが明らかとなった。②非対称ラメラ構造の構築:R2年度の検討において、オリゴ糖-b-オリゴジメチルシロキサン-b-オリゴ糖というシーケンスのBCPを合成し、非対称ラメラ構造の構築に成功した。しかし、合成の過程で分子量分散が生じ、多分散なBCPが得られていた。今年度はこの問題点を克服した合成法を確立し、体積分率や重合度、リンカー構造を系統的に変化させた単分散体を得ることに成功した。SAXS測定の結果、最小3.6 nmのラメラ構造が確認された。また、非対称度は2.3程度と見積もられた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Nanomaterials
巻: 12 ページ: 1653~1653
10.3390/nano12101653
Biomacromolecules
巻: 23 ページ: 3978~3989
10.1021/acs.biomac.2c00813
Macromolecules
巻: 56 ページ: 28~39
10.1021/acs.macromol.2c01929
http://poly-ac.eng.hokudai.ac.jp/