現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、高分子の精密重合法を利用して構造制御したモデル界面を調製し、その界面における界面導電現象の解析から高分子ソフト界面の表面電位の正確な理解を目指すものである。 本年度は、カチオン性高分子であるpoly(2-(methacryloyloxy)ethyl)trimethylammonium chloride) (PMTAC)に関して、膜厚・密度を系統的に制御しながらポリマーブラシを調製し、解析を進めた。PMTACは4級アンモニウム塩を側鎖にもつ強電解質のカチオン性分子であり、抗菌材料としても期待できる。高分子と界面は、NMR, GPC, XPS, 分光エリプソメトリ, 接触角測定による評価することができた。 イオン濃度を変えながら電気泳動移動度を測定したところ、高密度なポリマーブラシ構造では、Gouy-Chapmanモデルによる拡散電気二重層と、固体表面に対して用いられるSmolchowskiの式から、電気泳動移動度のイオン強度依存性を説明できることが示唆された。Ohshimaの式に適する表面はより低密度な界面であると予想されるため、今後、grafting to法による表面修飾も含めて合成を試みたい。本年度は、生体との相互作用解析も開始した。タンパク質吸着やバクテリア接着・殺菌に関する評価を行ったところ、界面構造に依存する振る舞いも見られており、どのようなパラメータで整理できるか解析を進めたい。
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