研究課題
基盤研究(B)
本研究では、種々の機能性高分子における分子鎖ダイナミクスと電荷特性について検討した。代表的な半導体高分子であるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)の電荷生成は、チオフェン環のねじれ運動の緩和温度と密接に関係し、その緩和温度以下では結晶構造の規則性に、緩和温度以上では結晶内におけるチオフェン環のねじれ運動に依存することを明らかにした。また、代表的な熱硬化性接着剤であるエポキシ硬化物と銅の界面における電子的相互作用を直接検出した。
高分子材料
本研究成果の学術的意義は、従来、主に分子構造と機能の関係が着目されてきた機能性高分子に構造・物性の観点から機能発現の要因を探る方法論を与えた点にある。これは、機能性高分子の研究開発サイクルの加速化に貢献するものと期待される。また、励起子をプローブにした相互作用の評価法は、埋もれた界面の新しい解析方法を提案するとともに、界面の理解を促進させるものである。