研究課題
貴金属を用いずに電子-光子の変換効率を 100% にできるTADF 材料1)の研究が注目されている。数多くの TADF 材料が報告されてきたが、実用化には、低い耐久性を解決する必要がある。TADF 材料は、電子供与性部位と電子受容性部位から構成されるため、周辺材料との電子的な相互作用を起こしやすい。このため、相互作用を抑制する新しい周辺材料と素子設計が求められる。加えて、三重項励起子を活用することから、周辺材料にも、高い三重高エネルギー準位が必須となる。これまでに申請者らは、ジベンゾチオフェンを有する新たなアリールアミン誘導体 4DBFHPB を開発、緑色TADF素子で 1000 cd/m2 時、外部量子効率20%と輝度半減寿命 (LT50) 2万時間超を実現している。本年度は、m-ビフェニルを中心骨格に持つ4種類のテトラジベンゾフラン誘導体ホール輸送材料 (TnDBFBP 誘導体) を設計し、末端のジベンゾフラン (DBF) の置換位置の効果を検証した。ジベンゾフランには置換位置が4つある。1-4位の 4 つの構造異性体は、共役長の長さに依存して、2つのグループに分かれた。1 位と 4 位の置換位置では、DBF が窒素原子を覆うようにねじれた分子構造を有している。一方、 2 位と 3 位では、直線的な構造で共役長が長い。これらの材料群は、最大1.75 eVのアニオン性結合解離エネルギー (BDE)、2.8 eV の三重項エネルギーを示した。イオン化ポテンシャルは、共役長に依存して 5.5 から 5.9 eV まで変化した。4CzIPN を用いた緑色 TADF 素子に用いたところ、最もイオン化ポテンシャルの深い T1DBFBP が外部量子効率 20%超と1000 cd m-2 時の輝度半減寿命 3 万時間をしめした。本研究により、これまで短く留まっていた TADF 素子の寿命を大幅に改善できた。加えて、長寿命化のための普遍的な材料・デバイス設計指針を獲得できた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (7件)
Molecular Systems Design & Engineering
巻: 8 ページ: 388~393
10.1039/d2me00225f
Bulletin of the Chemical Society of Japan
巻: 96 ページ: 24~28
10.1246/bcsj.20220297
巻: 96 ページ: 183~189
10.1246/bcsj.20220327
Journal of Materials Chemistry C
巻: 11 ページ: 4129~4135
10.1039/d2tc04647d
Molecular Systems Design & Engineering
巻: - ページ: in press
10.1039/D3ME00029J
Advanced Optical Materials
巻: 10 ページ: 2102774~2102774
10.1002/adom.202102774
巻: 10 ページ: 2073~2079
10.1039/d1tc05417a
Chemistry A European Journal
巻: 28 ページ: e202104408
10.1002/chem.202104408
Chemical Engineering Journal
巻: 435 ページ: 134925~134925
10.1016/j.cej.2022.134925
ChemPlusChem
巻: 87 ページ: e202100517
10.1002/cplu.202100517
巻: 10 ページ: 8694~8701
10.1039/D2TC00716A
巻: 28 ページ: e202201605
10.1002/chem.202201605
巻: 29 ページ: e202202636
10.1002/chem.202202636