研究課題/領域番号 |
20H02808
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 洋一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20435598)
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研究分担者 |
上野 裕 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (00775752)
福本 恵紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (20443559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超原子分子軌道 |
研究実績の概要 |
本研究では、内包フラーレンの超分子原子軌道(SAMO)を詳細計測に基づき理解する、挑戦的な課題である。このためには、これまで存在していない内包フラーレンの高品位薄膜を実現する必要があった。これまでに、Li内包C60分子の高品位薄膜の作製とそのSAMO計測に成功し、詳しい研究成果を原著論文として出版し[1]、さらに現在二報目を投稿中(現在査読対応中)である[2]。その成果の一部はプレスリリースし、日刊工業新聞に掲載された[3]。 本年度は、この結果を受けて、Li内包C70を新たに合成し、その薄膜化とその電子状態の詳細計測に注力した。これも全て新規物質の新規状態の計測に関する挑戦的な課題であった。この結果、Li内包C70の薄膜作成と、そのSAMO計測に成功し、応用物理学会において発表した[4]。現在は理論計算を行い、論文に投稿予定である。ここまでの研究結果による知見により新たな科研費申請(萌芽研究)に至った。 最終年度ではLi内包フラーレン薄膜の伝導計測やキャリアダイナミクス計測を行い、SAMOの伝導への寄与を評価していく予定であるが、この研究のための準備は十分に整ったといえる。 また、研究の過程で、電界放射顕微鏡を用いた、内包フラーレンのSAMOに関する新たな計測法を見出してきており、これに関しても新たな研究展開が期待できることを見出してきた。 [1]N. Sumi, et al.,J. Phys. Chem. Lett. 2021, 12, 7812[2]A. Kuklin, J. Phys. Chem. (in revision)[3]https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00609124?isReadConfirmed=true[4]清水ら、応用物理学会2022春期講演大会 (online)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、内包フラーレンの超分子原子軌道(SAMO)を詳細計測に基づき理解する。これまでに、Li内包C60分子のSAMOに関して、詳しい研究を行い、論文一報を出版し[1]、さらに現在二報目を投稿中(査読対応中)である[2]。その成果の一部は日刊工業新聞に掲載された[3]。 さらに本年度は、Li内包C70の薄膜作成とその詳細計測に注力し、その成果を応用物理学会において発表した[4]。現在は理論計算を行い、論文に投稿予定である。さらにここまでの研究結果による知見により新たな科研費申請(萌芽研究)に至った。 以上から、本研究は挑戦的研究ながらこれまでに十分にアウトプットを出してきており、今後も多くの成果が期待できる。 [1]N. Sumi, et al.,J. Phys. Chem. Lett. 2021, 12, 7812[2]A. Kuklin, J. Phys. Chem. (in revision)[3]https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00609124?isReadConfirmed=true[4]清水ら、応用物理学会2022春期講演大会 (online)
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今後の研究の推進方策 |
最終年度ではLi内包フラーレン薄膜の伝導計測やキャリアダイナミクス計測を行う予定である。このために研究分担者(福本)の時間分解光電子顕微鏡を用いる。 また、Li内包フラーレンのDFT計算も開始しており、すでに結果が出てきているので、計算単独での成果も狙う。 また、研究の過程で、内包フラーレンのSAMOに関する新たな計測法を見出してきており、これに関しても新たな研究展開が期待できる。
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