研究課題
本研究では、アルカリ水電解用自己修復電極の修復メカニズムを明らかにし、高性能な自己修復電極を実現することを目指している。本年度は、Co(OH)2が有機修飾されたハイブリッド水酸化コバルトナノシート(Co-ns)の電気化学的析出挙動を明らかにし、修復メカニズムを解明した。Co-nsは電解液に分散させ、酸素発生反応(OER)中にアノード表面に堆積することで触媒を修復する。分散濃度の異なるCo-nsを用い電解析出を行い、析出速度とOER電位との関係を調べた。析出速度がCo-nsの濃度に比例する擬一次反応であると仮定すると、反応速度定数がOER電位に直線関係を示すことを見いだした。Co-nsの電解析出はOERの副反応として生ずるが、主反応であるOERの電位が高い程、析出反応速度が高くなる。すなわち、劣化によりOER電位が増加すると、Co-nsの析出が促進される。従って、Co-nsの自己修復挙動は電極の触媒活性と連動し、合理的な挙動を示す。また、表面が有機修飾されていないCo(OH)2、CoOOHの検討より、電解析出にはCo2+が電極上で酸化されることで進行することがわかった。Co(OH)2は溶存酸素によりCoOOHとなり、析出能力が失われるが、Co-nsは有機修飾によりCo2+が安定化し、溶存酸素に酸化されなかった。従って、有機修飾されたCo-nsのみが自己修復触媒として利用可能である。Co-nsは電解析出によりカードハウス型の多孔質触媒層を形成する。正に帯電したCo-nsに対し、負に帯電したβ-FeOOHナノロッド(Fe-nr)を混在させることで、より高活性なFe-nrがCo-nsからなる多孔体に担持された担持触媒型自己修復触媒となることを明らかにした。これらの成果より、高活性、高耐久な自己修復触媒を設計するための基本概念の確立を達成した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Electrocatalysis
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