研究課題/領域番号 |
20H02825
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山田 幾也 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超高圧合成 / ペロブスカイト酸化物 / 水素発生触媒 / 酸素発生触媒 / アルカリ水電解 / 酸素欠損 / 異常高原子価イオン |
研究実績の概要 |
本課題では遷移金属酸化物を対象とした触媒材料探索を実施し、水素発生触媒における材料設計指針の確立を目的としている。結晶構造(酸素欠損)に 着目した高活性水素発生触媒材料の探索、触媒活性に与える要素の系統的な整理と体系化、第一原理計算に基づく触媒反応メカニズムの解明・ 実証の3つを目的とし、将来の材料開発に資する水素発生触媒の設計原理を確立することを最終的な目標とする。 初年度は、優れた特性を示す水素発生触媒の探索を行い、単純ペロブスカイト酸化物・四重ペロブスカイト酸化物を中心とした様々な材料における結晶構造・基礎物性と触媒活性データを系統的に収集することに成功した。酸素発生反応活性と合わせて評価することで、両極で適用可能な水電解触媒としての可能性も検討した。3d遷移金属元素のうち、周期表の右側にある元素が高原子価状態にある場合に高い活性を示すことが明らかになった。第一原理計算によって得られたバルク電子状態パラメータと触媒活性との相関を検証し、酸素発生触媒と同様に電荷移動エネルギーが主要な活性記述子として有効であることが明らかとなった。想定以上のペースで研究が進み、単一遷移金属元素からなる酸化物の評価・検証は概ね終了したため、次年度に向けて複合遷移金属酸化物における活性向上メカニズムの検討を開始した。実験データと電子状態計算を合わせて解釈を行い、ユニバーサルに適用できる可能性のある有用な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の主要ターゲット材料である、酸素欠損を含む二重ペロブスカイト酸化物において、酸素欠損量と水素発生触媒活性との相関について、想定以上のペースで研究が進み、研究開始前の予備的検討で明らかにすることに成功し、すでに論文出版に至っている。また、ABO3型ペロブスカイトの水素発生・酸素発生触媒活性の相関について、系統的な実験・計算データを収集することに成功しており、論文発表を行う目処が付いている。
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今後の研究の推進方策 |
単純組成のABO3型酸化物の水素発生触媒活性について実験・計算データ収集と検証を終えたことから、さらなる活性向上に向けた複合酸化物・固溶体の合成・評価・理論計算を実施する。特に、3種類以上の遷移金属元素を様々な比で混合した固溶体を高速に合成・評価する体制を整備することで、大規模データ解析による最適化を行う。特に優れた特性を示す材料については、表面電子状態計算を含めた詳細なメカニズムの検討を実施する。
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