研究実績の概要 |
再生可能エネルギーを用いた水電解水素製造において用いられる遷移金属酸化物を対象とした触媒材料探索を実施し、酸素・水素発生触媒における材料設計指針の確立を目的とした研究を行っている。本年度に得られた、酸素・水素発生触媒に関する主な成果は以下の通りである。1,2については論文発表済み、3については論文採択済み、4, 5については投稿準備中である。 1. 四重ペロブスカイト酸化物CaCu3Fe4-xCoxO12の酸素・水素発生触媒活性におけるシナジーが組成領域によって異なることを、結晶構造・電子状態解析によって明らかにした。2. ポストペロブスカイト構造を有する酸化物CaM2O4 (M = Cr, Mn, Fe)が、他の結晶構造の酸化物と比較して一様に高い酸素発生触媒活性を有することを実験的に明らかにし、第一原理計算に基づくメカニズムの検討を行った。3. マグネトプランバイト酸化物とペロブスカイト酸化物においてFe・Coの混合によるシナジーが発現し、混合がない場合と比べて酸素発生触媒活性が著しく高くなることを実験的に明らかにした。また、第一原理計算や電子物性測定によって、触媒活性に寄与する因子について検討を行った。4. ベイズ最適化によって高エントロピーペロブスカイト酸化物LaMO3 (M: 5種以上の遷移金属元素)における酸素発生触媒活性の向上・最適化を行い、他元素混合酸化物において有用な活性記述子を見出すことに成功した。5. 多元素混合酸化物の合成・評価の高スループット化により、複雑な組成を有する酸化物触媒の合成・評価を従来よりも格段に高速で実施する体制の構築を行った。
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