研究課題
過酸化水素(H2O2)は,衣料用の漂白剤・消毒剤などの身近な用途から,半導体プロセスにおける洗浄などの幅広い用途で利用されてきた.近年では水素にかわる次世代燃料電池の燃料として,また,有機合成用酸化剤としての利用が期待されており、新規な製造技術について検討が進められている.問題点として,H2O2は工業的にはアントラヒドロキノンを触媒とし、多段階・エネルギー多消費型反応で合成されるため、環境負荷が大きいという短所を有している。我々の研究室では、太陽光などの光エネルギーのみを用いて水と酸素から常温常圧で過酸化水素を高効率で製造する環境負荷のほとんどない粉末触媒および光電気化学システム開発を継続して行ってきた。本年度では、グラファイト型窒化炭素(PCN)の窒素原子部位にKイオンを配位させ、さらにAu元素を炭素部位に固定化する光色ばを開発した。その結果、金元素が0価に近い状態存在し、可視光照射下で金元素を励起した結果孤立したホールが生成して量子収率ほぼ100%OHラジカルの生成が確認された。一方、炭素原子に励起電子が高い効率で蓄積された結果、非常に高い電荷分離状態を生み出すことに成功した.その結果、励起状態電荷分布DFT計算によりホールは水を酸化して選択的にOHラジカルを生成し、供給する酸素は励起電子で二電子還元することで過酸化水素を連続的に生反応システムを構築することに成功した。420 nmの光を利用した過酸化水素生成の見かけの量子効率は95%以上%に達し、OHラジカル生成の量子収率も95%に達した.さらにこの材料を薄膜電極に組み込み、光アノードを開発し、ガス拡散電極と複合化することで、可視光照射下で光アノードでは、水の酸化によるH2O2とO2の生成が確認された。さらに、ガス拡散電極ではO2または、N2を連続供給することでH2O2あるいはNH3を連続的に生成させることに成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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