研究課題/領域番号 |
20H02848
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯久保 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40414594)
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研究分担者 |
石丸 学 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00264086)
樹神 克明 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (10313115)
松下 正史 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90432799)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 有機無機ペロブスカイト / XAFS / TEM / 中性子回折 |
研究実績の概要 |
本研究では、様々な量子ビームを用いて得た原子対相関関数(PDF)を解析することによりSn-PVKの局所構造を調べ、光電変換効率抑制の原因となっている欠陥の種類・位置を特定する。さらに欠陥の効果を抑える添加元素を提案し、それを実証することを目的とする。X線、中性子線を用いたPDF解析を主な手段として進めるが、研究分担者の助力を得てX線吸収微細構造(XAFS)・透過型電子顕微鏡(TEM)によるPDF解析も行い、欠陥構造についての総合的な理解を目指す。XAFSは最近接原子対に精度が高く、また元素選択性を有する。電子線回折は測定領域を限定することができることから、X線、中性子線が示す広い領域での情報とは相補的な情報をもたらす。以上のように本研究は、複数の特色あるPDFを解析することによって、結晶構造中の欠陥について総合的に調べ、学術的な創造性を追求するものでもある。 研究室の試料合成装置を用いてSn-PVK合成法の検討を行い、XRDやSEMを用いた試料評価により結晶性の良いSn-PVKの作成方法をほぼ確立した。さらには試験的にXAFS測定、TEM測定、中性子回折まで行い、各測定手段に対するノウハウを蓄積し、測定準備における注意点などの今後に役立つ様々な情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、様々な量子ビームを用いて得た原子対相関関数(PDF)を解析することによりSn-PVKの局所構造を調べ、光電変換効率抑制の原因となっている欠陥の種類・位置を特定する。さらに欠陥の効果を抑える添加元素を提案し、それを実証することを目的とする。X線、中性子線を用いたPDF解析を主な手段として進めるが、研究分担者の助力を得てX線吸収微細構造(XAFS)・透過型電子顕微鏡(TEM)によるPDF解析も行い、欠陥構造についての総合的な理解を目指す。XAFSは最近接原子対に精度が高く、また元素選択性を有する。電子線回折は測定領域を限定することができることから、X線、中性子線が示す広い領域での情報とは相補的な情報をもたらす。以上のように本研究は、複数の特色あるPDFを解析することによって、結晶構造中の欠陥について総合的に調べ、学術的な創造性を追求するものでもある。 初年度は研究室の試料合成装置を用いてSn-PVK合成法の検討を行い、XRDやSEMを用いた試料評価により結晶性の良いSn-PVKの作成方法をほぼ確立した。さらには試験的にXAFS測定、TEM測定、中性子回折まで行い、各測定手段に対するノウハウを蓄積し、測定準備における注意点などの今後に役立つ様々な情報を得た。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、実験結果から得られた問題点などの修正を施しながら、欠陥構造の精密化を行う予定である。研究代表者は九州大学へ異動することとなったため、まず本申請に関わる研究設備の整備に注力する。必要な実験装置類(グローブボックス、XRD、電気炉など)の立ち上げと電子状態計算に用いる大型の並列計算機の移設、必要なソフトウェア(VASPなど)の移設手続きを速やかに行い、当初予定のPDF解析、XAFS解析、TEM測定といった研究計画に着手する。放射光X線・中性子回折によるPDFが数μmにわたる広い相関長の局所構造を明らかにすることができるのに対し、XAFSによって得られるPDFは最近接の短距離相関に高い精度を有する。本申請課題では、XAFS測定に経験を有する愛媛大松下教授にご協力いただき、その測定とデータ解析を進める。また放射光X線・中性子回折によるPDFが~μmオーダーの平均値として得られることに対し、電子線を用いることで~μm以下の限られた領域におけるPDFを得ることが可能である。本申請課題では九州工業大学でTEMを所有している石丸教授にその測定を分担していただく。また原子力機構の樹神氏とともに、前年度に中性子回折データから得たPDF解析を進めて、追加の実験などの研究計画を検討する。
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