研究課題/領域番号 |
20H02859
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 慎一 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70534478)
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研究分担者 |
萩原 正規 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40403000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機能性RNA / 核酸 / 小分子化合物 / ケミカルバイオロジー |
研究実績の概要 |
【研究の目的と実施計画】 細胞の恒常性は,核酸・タンパク質・脂質・糖鎖・代謝産物などの生体分子が互いに連携・機能することで維持されている.複雑な細胞機能の理解を深めるためには,タンパク質や核酸などの機能性生体高分子の時空間的な機能発現を系統立てて研究することが重要だ.本研究では,採択者が開発した「機能性RNAと小分子化合物」を研究ツールとして利用し,タンパク質の機能発現機構の解析を目指す.具体的には次の2つの研究課題を提案した.課題①:小分子化合物とRNAツールによる内在性タンパク質の生細胞内動態解析法の創出,課題②:小分子化合物によるRNA G-quadruplexの網羅的探索とビッグデータ基盤構築 【実績】 【課題①】 在性タンパク質の生細胞内動態解析法の創出:課題①の研究内容は,20塩基からなるランダム配列をアーム部位に配置したRNAライブラリーからin vitro selectionで選出したタンパク質標的アプタマーを利用して,生細胞内の内在性タンパク質の動態観察を可能とするものである.課題①は,ほぼ目標を達成することができ,国際的科学論文へ報告した (Nucleic Acids Research, 49 (22), e132, 2021 IF=16.971). 【課題②】 RNA G-quadruplexの網羅的探索とビッグデータ基盤構築:昨年度には,採択者が開発したRGB-1を利用することにより新たに発見したRNA G-quadraplex構造を解析した結果について,国際的科学論文へ投稿中である(Nucleic Acids Research, in revision).またRNA G-quadruplexの網羅的探索のためのビッグデータ取得のため,RNA seq.解析とプロテオーム解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【現在までの進歩状況】 現在までの二年間で,提案した課題を順調に進め,研究成果を残している.その成果は,二報の国際的科学論文(Nucleic Acids Research,IF=16.971)へ投稿した.一報は既に掲載されている(タイトル:RNA-based cooperative protein labeling that permits direct monitoring of the intracellular concentration change of an endogenous protein,雑誌名・巻・号・ページ・掲載年:Nucleic Acids Research, 49 (22), e132, 2021).もう一報は既に投稿を終え,現在リバイス中である(タイトル:Small molecule-based detection of non-canonical RNA G-quadruplex structures that modulate protein translation,雑誌名・巻・号・ページ・掲載年:Nucleic Acids Research, in revision).これらのハイインパクトな科学論文への投稿は,順調な研究課題の遂行を証明している. また,研究提案の一つであるRNA G-quadruplexの網羅的探索のためのビッグデータ取得も順調に進展しており,昨年度までの予算により,RNA seq.解析とプロテオーム解析を済ませている.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には,現在,国際的科学論文へ投稿中である(Nucleic Acids Research, in revision) RGB-1を利用により発見したRNA G-quadraplex構造を解析について,リバイス実験を終了させて,論文への掲載を目指す.また,昨年度の RNA seq.解析とプロテオーム解析から得られた2つのビッグデータを組み合わせて,再解析することにより, mRNA上に存在し,タンパク質翻訳に影響を与えるRNA G-quadruplexを網羅的に発見する.2つのビッグデータから導き出されたRNA G-quadruplexの機能を解析することで,本方法論の有効性を示し,国際的科学論文への投稿へと繋げる.
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