研究実績の概要 |
本研究では,採択者が開発した「機能性RNAと小分子化合物」を研究ツールとして利用し,タンパク質の機能発現機構の解析を目指した.具体的には次の2つの研究課題を提案した. 課題①:小分子化合物とRNAツールによる内在性タンパク質の生細胞内動態解析法の創出 課題②:小分子化合物によるRNA G-quadruplexの網羅的探索とビッグデータ基盤構築 【課題①】内在性タンパク質の生細胞内動態解析法の創出;課題①の研究内容は,20塩基からなるランダム配列をアーム部位に配置したRNAライブラリーからin vitro selectionで選出したタンパク質標的アプタマーを利用して,生細胞内の内在性タンパク質の動態観察を目指したものである.課題①は,目標を達成することができ,国際的科学論文へ報告した (Nucleic Acids Research, 49(22), e132, 2022 IF=16.971). 【課題②】 RNA G-quadruplexの網羅的探索とビッグデータ基盤構築;採択者が開発したRGB-1を利用することにより新たに発見したRNA G-quadraplex構造を解析した結果について,国際的科学論文へ報告した(Nucleic Acids Research, 50(14), 8143-8153, 2022 IF=19.160).またRNA G-quadruplexの網羅的探索のためのビッグデータ取得のため,RNA seq.とプロテオーム解析を行った.最終年度には,2つのビッグデータを組み合わせた再解析を行い, mRNA上に存在し,タンパク質翻訳に影響を与えるRNA G-quadruplexを網羅的に見出した.現在,二つのビッグデータから導き出されたRNA G-quadruplexの機能を解析することで,本方法の有効性を示した結果について,国際的科学論文に投稿準備中である.
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