研究課題/領域番号 |
20H02868
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松岡 茂 大分大学, 医学部, 特任教授 (60456184)
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研究分担者 |
石崎 敏理 大分大学, 医学部, 教授 (70293876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ペプチドミメティクス / 活性発現の分子機構 / 生体機能物質 / 医薬品探索 |
研究実績の概要 |
TGF-β刺激によるMRC-5(胎児肺由来正常二倍体線維芽細胞)のEMT(上皮細胞の間葉系細胞への分化、epithelial-mesenchymal transition)の阻害を指標として、大分大学のPPI(タンパク質間相互作用、Protein-Protein interaction)阻害ペプチドミメティクスライブラリ(200化合物)から繊維化阻害化合物を20個以上見出した。これらの化合物はPPIase(ペプチジルプロリルイソメラーゼ、peptidyl prolyl isomerase)ファミリーの阻害を標的として設計・合成されたフォーカストライブラリに含まれていた。そこでTsiRNAによる細胞レベルでのノックダウン実験を実施し、GF-β刺激によるEMT過程に関わるPPIaseのサブタイプの特定を試みた。その結果、PPIaseの2つのサブタイプがTGF-β刺激によるEMT課程に関与することが特定できた。このうち一方のPPIaseサブタイプについて、精製タンパク質を用いたPTSA(protein thermal shift assay)による結合確認実験を実施して、ライブラリ化合物との相互作用を調査した。この結果、抗繊維化活性を示したライブラリ化合物の中で、3つがKd = 10μM 程度の結合を示した。一方、それ以外の化合物では結合が確認できず、異なるタンパク質を標的とすることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
繊維化阻害化合物の標的タンパク質を2つ特定し、そのうち一つが本研究のペプチドミメティクスライブラリの標的分子である可能性を示せた。また、物理化学データの測定を開始することができ、本ライブラリのケミカルスペース内における当該タンパク質阻害のバイオアクテビティスペースの同定に着手できている。
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今後の研究の推進方策 |
標的タンパク質への結合が確認されたケミカルスペースに属する化合物群については、引き続き結合親和性などの物理化学データを蓄積し、結合構造解析を行うことで作用機序を明らかにする。それ以外の化合物については標的タンパク質の特定を試みる。
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