研究課題/領域番号 |
20H02874
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小嶋 良輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10808059)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 蛍光プローブ / がん / 蛍光イメージング / 機能性小分子 / 機能性タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究課題において、我々は、機能性小分子と機能性タンパク質を精緻にデザインして、これを協奏的に利用する独自のアプローチをとることで、①がん表面の抗原に結合して迅速かつ大きなactivationを示す蛍光プローブ、および ② bioorthogonalな蛍光プローブと、がん細胞内で選択的に活性化されるレポーター酵素のペアを利用した、新規がん蛍光イメージング手法を開発することを目指している。①に関して、我々はこれまでに、GFPをモデル抗原として、これに結合する抗体ミメティックの特定の部位に、システイン(Cys)およびチオール反応性の蛍光団を導入することで、GFPとの結合に伴って10倍以上の蛍光上昇を示すプローブが創製できることを見出した。本年度は複数の抗原に対するプローブライブラリーを準備し、抗体ミメティックに導入するCysと蛍光団の位置や、蛍光団の構造の最適化を目指したが、この過程で、抗体ミメティックに結合する蛍光団の水溶性が重要であることが示唆されたため、現在使用する蛍光団の更なる構造最適化を行っている。②に関して、我々はこれまでに、基質としてD-Fucoseを有する蛍光団が高いbioorthogonalityを有すること、またこのプローブをメタゲノム由来の糖加水分解酵素をレポーターとして使用することによってactivateできることを見出した。本年度は、このプローブ酵素ペアを用いることで、in vivoでがんの蛍光イメージングが可能になることを実証した。また、さらに高感度なイメージングを目指して、レポーターの活性を指向的進化法によりさらに向上させるためのスクリーニング系の構築を行い、その基礎検討が概ね完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両プロジェクトとも、高感度ながん蛍光イメージングを可能とするシステムの創製にむけて、どこに技術的ハードルがあるのかという点が初年度に明らかになり、それを解決するための方策についても準備が整ってきた。概ね研究は順調に進行しており、本年度は実際に優れたイメージングシステムを確立することを目指す。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト①に関しては、使用する蛍光団の構造最適化が完了したら、これとがん抗原に対する抗体ミメティックを結合したプローブ群を準備し、がん抗原に結合するだけで、明るく光る蛍光プローブを見出すことを目指す。プロジェクト②に関してはレポーター酵素を指向的進化法によって改変し、高い活性とがん細胞内でactivateされるような性質を付与することを目指す。
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