研究課題/領域番号 |
20H02885
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田野井 慶太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90361576)
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研究分担者 |
鈴井 伸郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員 (20391287)
古川 純 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40451687)
田中 伸裕 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (60646230)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 放射線トレーサー / イオン動態 / 植物 |
研究実績の概要 |
1. 初年度の本年度は、様々は植物用放射性同位体のライブイメージング装置(RRIS: Real-time Radioisotope Imaging System:東京大学大学院農学生命科学研究科内,およびPETIS:Positron Emitting Tracer Imaging System:量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所内)を用いて、イネの亜鉛(Zn)イオン動態を可視化した。具体的には、日本晴を野生型株とし、根においてZnを液胞へ輸送するOsHMA3を欠損した変異体植物において、根から葉へのZnの長距離輸送をイメージング解析した。OsHM3を欠損したイネは、Znを液胞に入れることができないため、根に入ったZnは素早く地上部に送られ、結果、葉のZn濃度が高くなることが幼年期において報告されている。上記試験の結果、報告されている幼年期のみならず、出穂期のイネにおいてもZnの根から地上部への輸送に関与していることが明らかとなった。 2. 実験材料としてのイネの品種を選抜するため、既に整備されているイネの拡大版コアコレクション約200系統に加えてインディカやausを含めた合計600品種について圃場栽培を行った。圃場栽培中のイネにおいて、イオンの転流の影響が大きいと考えられる止め葉(穂が出てくる直前に出てくる最後の葉)に焦点をあて、8月の出穂期と10月の収穫期の2回に分けて止め葉のサンプリングを実施した。一部のサンプリングした葉を硝酸分解の後、ICP-MSで網羅的に測定を行った。今回サンプリングした点数は合計6000点に及んだ。これらの本格的な解析を今後行うにあたって効率よく作業を進めるために、硝酸分解から測定までの実験系の最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、さまざまなRIイメージング装置で同じイネサンプルを変異体も合わせて解析することができた。また圃場のイネの栽培や葉のサンプリングも順調で、葉を硝酸分解しイオン濃度を測定する手順の最適化も理想的に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
ナトリウムの動態をRIイメージング装置で測定するにあたり、遺伝子組換え体の許可を取る必要があったので、次年度はその手続きを行うこととした。
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