研究実績の概要 |
本年度までに、イネの拡大コアコレクション約200系統、インディカ約200系統、aus約200系統の合計約600系統について出穂前後の葉身サンプル約6000点についてイオン測定を完了した。得られたデータにおいて、出穂前後の差分を取ることで、転流に関するパラメーターを算出し、これを多変量解析に供した。その結果、寄与率が30%を超えた第一主成分において元素グルーピングを見てみたところ、大きく2つに別れた。止め葉からの転流が多いと見られるグループには、Mo, Mg, Zn, Rb, Cu, K, Pが、転流がほとんどないと見られるグループには、Mn, Ca, Sr, Co, Feがグルーピングされた。第一主成分軸の値においてGWASを行ったところ、イネの拡大コアコレクション約200系統のデータセットにおいてQLTが検出された。今後、この転流に関わる因子が同定されることで、元素の利用効率がよい作物の創出に寄与することが期待される。 RI実験法の開発については、植物のRIイメージングの適用範囲を拡大するために、放射線で光るタンパク質の探索と開発を行った。蛍光タンパク質を対象にベータ線照射を行ったところ、複数のタンパク質がベータ線照射により蛍光を発することが示された。蛍光を発するタンパク質には共通する特徴が見出された。今後、より発光強度の強いタンパク質を開発するにあたっては、どのような機序で励起されるのかを解明する必要がある。
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