研究課題
研究実施計画に記載した①窒素飢餓応答制御に関わる新奇因子の探索(変異体スクリーニングとYeast one-hybridスクリーニング)と②新奇・既知因子の役割と因子間の遺伝的関係の明確化によるシステム理解に関して、①を中心に推進した。①変異体のスクリーニングにおいては、昨年度単離した5系統の恒常的窒素飢餓応答変異体(cnsr)について、戻し交配を行い、原因変異同定のためのゲノムリシークエンス解析の準備を整えた。また、窒素飢餓条件で栽培しているにもかかわらず、窒素飢餓応答レポーターが活性化されない窒素飢餓応答抑圧変異体(snsr)のスクリーニングを行い(10,000系統相当のM2種子)、1次スクリーニングの結果114個体の変異体候補を得た。Yeast One-hybridスクリーニングでは、NRT2.4プロモーター上の窒素飢餓応答最小領域(NRT2.4minP)と相互作用する転写因子群NIPsを単離した。また、シロイヌナズナ葉肉プロトプラスを用いたトランジェントアッセイにより、NIPsは植物体内においてもNRT2.4minPと相互作用することを確認した。②窒素飢餓応答制御に関わるとされる既知因子NIGT1.1-1.4、LBD37-39、CEPDs、NLA、CBL7、BTB1/2について、変異体の入手または作製を完了した。また、NIGT1.1-1.4とLBD37-39については、それぞれの多重変異体を組み合わせた7重変異体を作出した。
3: やや遅れている
2020年に所属機関の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における活動指針により研究室での活動が制限され、その遅れを取り戻せていないため。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響等により研究の進捗が遅れているため、本研究の中心項目である「①窒素飢餓応答制御に関わる新奇因子の探索」に目処がつくまでは、本項目に注力する。具体的な推進方策は以下の通りの方針である。①cnsrとsnsr変異体の原因遺伝子の同定と、それらの窒素飢餓応答制御における役割を明らかにするための分子生物学的機能解析を行う。Yeast One-hybridスクリーニングで単離したNIPsについても、同様の解析を行う。②①の研究が新奇因子の機能解析まで進んだら、新奇因子と既知因子の機能を比較解析することにより、それらの働きの共通点と相違点を明らかにする。また、それらの遺伝的関係を明らかにするため、変異体や過剰発現体を組み合わせて解析することにより、窒素飢餓応答制御システムの理解を深める。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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