糸状菌は天然に300万種以上存在し、特に陸圏において分解者として動植物と相互作用しながら地球の物質循環に寄与する。産業では糸状菌の多様な酵素や化成品の生産能を利活用している。糸状菌の発酵生産では大規模な液体培養を行うが、菌糸接着で菌糸塊が形成され、その内部の酸素欠乏により自己消化して生産性が低下することが課題となっていた。本研究の成果は、菌糸接着因子であるα-1,3-グルカン(AG)の生合成機構の観点から、菌糸接着とAG分子量の関係性を明らかにしたことで、産業課題である菌糸分散性制御技術の開発を可能にする。AG量および分子量を低下させて菌糸を分散させることで、物質生産性は向上する。
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