研究課題/領域番号 |
20H02913
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関 光 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30392004)
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研究分担者 |
光田 展隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80450667)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マメ科植物 / トリテルペノイド / 生合成 / 転写因子 / ソヤサポニン / ベツリン酸 |
研究実績の概要 |
本研究では,マメ科植物が産生する各種トリテルペノイドの植物生理学的機能の解明に向けて,トリテルペノイドの生合成制御に関わる転写因子の同定とその制御下にあるターゲット遺伝子群の網羅的解析,転写制御因子遺伝子の破壊や高発現が表現型におよぼす影響を解析することを目的とする.これまでに,研究代表者がマメ科の薬用植物カンゾウ(甘草)から先に同定したソヤサポニン生合成活性化因子(GubHLH3,Tamura et al.,2018, Plant and Cell Physiology)のモデルマメ科植物であるミヤコグサにおけるホモログの一つがソヤサポニン生合成酵素遺伝子のプロモーターからの転写を数倍から数百倍に活性化することをシロイヌナズナプロトプラストを用いたトランジェントアッセイ系によって明らかにした.そこで本転写因子遺伝子のノックアウト植物体の取得,ならびに,本遺伝子を高発現する形質転換ミヤコグサ毛状根の作出を進め,これらにおけるトリテルペノイド生合成酵素遺伝子の発現ならびにトリテルペノイド組成の変化を解析中である.また,ダイズからもGubHLH3ホモログを単離し本転写因子を高発現する形質転換毛状根を作出しサポニン生合成酵素遺伝子の発現量ならびにサポニン含量におよぼす効果の解析に着手した.また,ミヤコグサにおいて,水耕栽培した根においてベツリン酸生合成が顕著に活性化されること,さらに,ベツリン酸生合成を活性化するbHLH型転写因子の同定に成功した,本成果について投稿論文原稿を作成し本年度内に投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミヤコグサからソヤサポニン生合成酵素遺伝子のプロモーターからの転写を数倍から数百倍に活性化する転写因子を見出すとともに本転写因子のノックアウト植物体の取得,ならびに,本遺伝子を高発現する形質転換ミヤコグサ毛状根の作出と解析に着手した.また,ダイズからもGubHLH3ホモログを単離し本転写因子を高発現する形質転換毛状根を作出しサポニン生合成酵素遺伝子の発現量ならびにサポニン含量におよぼす効果の解析に着手した.また,ミヤコグサにおいてベツリン酸生合成を活性化する転写因子を同定し論文作成中である.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に見出したミヤコグサのソヤサポニン生合成活性化因子を高発現する形質転換毛状根についてChip-Seq解析を行いゲノム中の転写因子結合部位を網羅的に解析する.これにより本転写因子のターゲット遺伝子群を明らかにする.また,ダイズから見出したソヤサポニン生合成活性化因子の候補について,サポニン生合成酵素遺伝子プロモーターからの転写を活性化しうるかをシロイヌナズナプロトプラストを用いたトランジェントアッセイ系により明らかにする.ミヤコグサにおいてベツリン酸生合成を活性化する転写因子に関する投稿論文を国際誌において発表する.
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