研究実績の概要 |
amycolamicinは5つの構造単位(A, B, C, D, Eユニット)のハイブリッド型構造を持つが,これまでの研究により,Sharpless不斉ジヒドロキシル化反応を用いるDEユニット(新規糖amycoloseとジクロロピロールカルボン酸とのアミド)の改良合成法を完成させ,不斉エポキシ化を経由する従来法に比べて,通算収率を大幅に向上させることができた。また,ルイス酸を触媒として用いるテトラエン-アルデヒドの分子内Diels-Alder反応を鍵反応とするtrans-デカリン部位(Cユニット)の立体選択的な構築にも成功し,Cユニットの短工程での調製を達成した。分子最北部の新規糖amykitanose部位(Aユニット)は,L-フコースを原料とし,ケトン中間体の立体選択的還元,および環状オルトエステルの酸による開裂を経て,調製することができた。さらに, CユニットとDEユニットのβ-選択的グリコシル化反応による連結にも成功し,CDEユニットの調製を完了した。nonthmicinについては,不斉ビニロガス向山反応を鍵反応とするC6-C12炭素骨格の1工程での調製に成功するとともに,改善の余地はあるものの,C11位の不斉中心の構築まで到達した。また,アセチレン型中間体に対する有機銅試薬のシス付加を経由するC18-C27部位の炭素骨格の構築も完了している。aplasmolycinについては,L-乳酸を原料とし,向山酸化を鍵反応とするTHP環部位の立体選択的な調製に成功し,Evans不斉アルドール反応を用いたヒドロキシカルボン酸部位の調製も完了した。
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