研究実績の概要 |
[1]テトロドトキシン(TTX)の新規類縁体の探索と生合成経路の推定:フグより発見した超微量のTTX類縁体2種を構造解析に十分な量を確保するため繰り返し精製した。2DNMR測定して構造解析し、1種はTTXと一致する骨格構造をもつことがわかった。また、化学平衡物と推定される2種類の化合物の混合物であることがわかった。もう1種の新規TTX関連化合物は、2018年に別のフグから単離し、TTXの生合成前駆体と推定したスピロ二環性のグアニジノ化合物と同じ骨格構造であることが示唆された。さらに立体化学などを確認している。 [2]サキシトキシン(STX)の新規類縁体と生合成経路の推定:有毒藍藻Dolichospermum circinale (TA04)と有毒渦鞭毛藻Alexandrium pacificum (Group IV, 120518KureAC)の細胞抽出液粗精製物をHR-LCMSに供してSTX類縁体を分析した。その結果、2種のdeoxy類縁体と考えられる未同定のピークを検出した。そこで、藍藻から精製したC1/C2より12α/β-deoxyGTX5 (2, 3)および12β-deoxySTX(4)を合成した。これらを標品としてHR-LCMSMSで、上記の未同定deoxy類縁体の保持時間およびMSMS開裂パターンを比較した。その結果、D. circinale (TA04)から3と4を、A. pacificum (Group IV, 120518KureAC)から4を、天然物として初めて同定した。12α-deoxySTXは、酸化酵素SxtTによりSTXへ変換されると報告されているが、有毒生物からは12β-deoxy体のみが検出され12α-deoxy体は検出されない。そのため別の生合成経路の存在が示唆された。(Marine Drugsに論文発表済み)
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