研究課題
最終年度のR5年度は、3つの項目のうち、特に1)、2)の成果を得た。1)Oryza属クラスター領域内のピマラジエン合成酵素遺伝子OsKSL4の上流保存領域に存在する制御配 列(シス因子)のゲノム編集株を用いた解析、においては、OsKSL4プロモーター領域のゲノム編集株の花芽、葉身、根におけるジテルペンファイトアレキシン(DP)の蓄積と生合成遺伝子の発現プロファイリングの解析を行った。その結果、OsKSL4上流のN-boxを含む約1kbの領域を欠損したイネ変異体では、モミラクトンおよびファイトカサンの蓄積量が、葉身、根で顕著に低下し、OsKSL4遺伝子の発現量についても塩化銅ストレスを与えた葉身において、誘導性が低くなっていた。一方、花芽においては、モミラクトンについては、その他の組織と同様な影響が見られたが、ファイトカサンについては、変化が認められなかった。従って、DP生産誘導の制御において、OsKSL4上流に位置するN-boxを含む領域は、その配列に結合するDPFと共にcis-trans制御システムとして重要な役割を持つことが明らかになった。本成果は、現在論文投稿中であり、既にBioRxivで公開している。2)Oryza属に保存される関連転写因子の機能解析では、Oryza属野生イネにも広く保存されているMYC2の下流で働くMYL1転写因子の過剰発現体の解析から、DP制御において、抑制因子として機能することを示した。プロトプラストを用いたレポーターアッセイにおいて、活性化因子DPFとMYL1を共存させると、DP生合成遺伝子の発現誘導を転写レベルで抑制していることを明らかにした。MYL1のゲノム編集株も作出し、現在系統の整備を進めており、それらの解析を今後も継続する。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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