研究課題
本研究では、「miRNAによる遺伝子サイレンシングを介したT細胞分化の調節は、腸内細菌叢が腸管免疫のホメオスタシスに寄与する分子基盤である」という仮説を立て、今年度は以下のように検証を進めた。1) 前年度の研究により、難消化性オリゴ糖を摂取させたマウスの大腸における粘膜固有層白血球(LPL)においてmiR-200ファミリーメンバーの発現が増加することが明らかとなり、このことに腸内に常在するビフィズス菌が寄与することが示唆されたので、このことを直接的に証明した。すなわち、マウスから分離したBifidobacterium pseudolongumを培養し、マウスに経口投与したところ、腸内における本菌の数が増加するとともに大腸LPLにおけるmiR-200ファミリーおよびmiR-192/215ファミリーのメンバーの発現が増加することが示された。2) miR-200ファミリーメンバーによる遺伝子サイレンシングをin vivoで証明するために、miR-200ファミリーメンバーの合成mimicの無菌マウスへの導入、および合成inhibitorの通常マウスへの導入を試み、大腸のLPLにおけるそれらの発現の変動を確認した。さらに、それらのmiRNAの標的遺伝子Bcl11b、Ets1、およびZeb1の発現およびIL-2産生の変動について解析を進めている。以上のように、本年度の研究により、難消化性オリゴ糖という食事要因による腸管免疫の変動にmiRNAが寄与することを明らかにした。腸内細菌叢が腸管免疫を調節する際のmiRNAの役割について、in vivoにおいて引き続き解析を進めている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Nutritional Science and Vitaminology
巻: 69 ページ: -
Bioscience of Microbiota, Food and Health
巻: 42 ページ: -
10.12938/bmfh.2022-073