研究課題/領域番号 |
20H02941
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
戸田 安香 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員 (10802978)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 味覚 / 旨味 / GPCR |
研究実績の概要 |
旨味受容体T1R1/T1R3は「食物中に含まれるタンパク質を検知するための味センサー」と考えられてきた。近年、研究代表者らはヒト以外の動物種を対象とした研究により、旨味受容体の機能が動物の食性に応じて種ごとに柔軟に変化してきたことを示した。一方で、ヒト旨味受容体はグルタミン酸に特化したアミノ酸選択性を示しかつ、イノシン酸やグアニル酸といったヌクレオチドでも活性化されるが、その生理的意義は明らかでない。 本研究ではヒトと多系統の動物種の間で、旨味受容体の機能及び食物を比較し、ヒト旨味受容体の特徴である「高グルタミン酸活性」及び「ヌクレオチド受容能」がどのような食品成分の味・栄養素検出と結びついているかを明らかにする。具体的には、それぞれの動物種ごとに旨味受容体の塩基配列解析、機能解析、食物成分分析、行動実験等を行う。 これまでに、16種の非ヒト霊長類の旨味受容体遺伝子配列を決定した。配列決定が完了した種から、順次、培養細胞発現用プラスミドを作製し、機能解析を実施した。その結果、霊長類の主要タンパク質供給源と旨味受容体のグルタミン酸活性との間に相関を見出した。さらに、霊長類以外の哺乳類の旨味受容体遺伝子の配列決定およびクローニングも行い、機能解析を開始した。 今後、旨味受容体の機能解析を進めることで、グルタミン酸やヌクレオチド受容能獲得が進化的にどのタイミングで起こったのかを明らかにできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食性の異なる17種の霊長類の旨味受容体遺伝子の配列を決定した。機能解析により、霊長類の主要タンパク質供給源と旨味受容体のグルタミン酸活性との間に相関を見出すことができた。今後、霊長類が採食する食物の成分分析結果と組み合わせて考察することで、なぜヒト旨味受容体が高いグルタミン酸活性を有するかを解明できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
霊長類旨味受容体のグルタミン酸活性と、食物成分分析の結果を組み合わせて考察し、グルタミン酸活性と食物成分の関わりを明らかにする。 霊長類以外の哺乳類の旨味受容体の機能を明らかにすることで、旨味受容体のヌクレオチド受容能がいつ獲得されたかを明らかにする。
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