研究課題/領域番号 |
20H02943
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
柴田 克己 甲南女子大学, 医療栄養学部, 教授 (40131479)
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研究分担者 |
寺尾 純二 甲南女子大学, 医療栄養学部, 教授 (60093275)
川畑 球一 甲南女子大学, 医療栄養学部, 准教授 (60452645)
伊美 友紀子 甲南女子大学, 医療栄養学部, 助手 (60823979)
吉岡 泰淳 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80801513)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フレイル / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / NAD代謝 |
研究実績の概要 |
・ミトコンドリアにおける電子伝達系構成因子であるヘムの前駆体5-アミノレブリン酸(ALA)は加齢により減少するため、ALAの生合成に及ぼすアミノ酸、ビタミン量について検討した。ラットにタンパク質含量の異なる餌を与えたところ、タンパク質摂取量の増加に伴い肝臓でのALA合成酵素活性は増加した。HepG2細胞においてもアミノ酸添加によりALA合成酵素活性が増加した。ALA合成酵素の補酵素であるビタミンB6の不足はALA合成を増加させ、アミノ酸代謝過程で必要とされるナイアシンの欠乏はALA合成を低下させたことから、ALA合成の維持にはアミノ酸量およびナイアシンの摂取量が関連すると考えられた。本研究成果を学会誌に投稿した。またこれらの研究を実施するにあたり調査した事項を総説としてまとめ、大学紀要へ投稿した。 ・NAD前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)添加により細胞内NAD量が増加することが知られている。C2C12細胞の筋管形成におけるNMNの影響を検討したところ、細胞外NMN濃度依存的に筋管マーカーの増加、筋管の肥大化がみられた。 ・昨年度、C2C12筋管細胞において、デキサメタゾンによる筋萎縮抑制効果を持つ非栄養食品因子としてメチルキサンチンを見出した。本年度は、メチルキサンチン類の構造活性相関研究を行った。デキサメタゾン誘導の筋萎縮の抑制は、7位のヒドロキシ基と1位のメチル基をもつメチルキサンチンが有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画に基づき、おおむね順調に進められた。 ①ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝マーカーとしてALAに注目して解析し、アミノ酸量とビタミン量がその産生維持に重要であることを確認した。 ②昨年度、C2C12筋管細胞を用いたデキサメタゾン誘導筋萎縮モデルにおいて、非栄養食品因子メチルキサンチンが抑制効果を示すことを見出した。本年度はその構造活性相関研究を行い、機能発現に重要な官能基を確認した。 さらに、NMNによる筋管マーカーの増加、筋管の肥大化を明らかにし、フレイル予防に有益な微量栄養素、非栄養食品因子に関する知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
・実験動物を用いて、メチルキサンチンやNMNによる筋量・筋力への影響を解析するとともに、種々の臓器・組織中のNAD+濃度の測定を行う。 ・動物細胞はNAD+、NADHを直接ミトコンドリア内に輸送するシステムが存在しない。混乱しているミトコンドリア内でのNAD+生合成経路を文献学的に整理し、ミトコンドリア内のde novoNAD+生合成経路経の解明を行う。
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