|
NELL (neural EGFL-like) 1遺伝子は、おもに頭蓋顔面の骨格形成に関わる分泌タンパク質をコードしており、その骨形成能に基づいて骨再生治療への応用が試みられているが、その骨形成作用の分子基盤は不明な点が多く、臨床応用する際のボトルネックとなっている。本研究は、我々が発見したNELL1 リガンドの新奇受容体Roundabout (Robo) 2とその下流のシグナル伝達経路の役割を解明することにより、NELL1タンパク質を利用した骨再生治療の基盤研究を行うことを目的とした。2023年度および論文執筆のために一部助成金を繰り越して研究行った2024年度は、NELLリガンドファミリ-(NELL1/2)およびRobo受容体ファミリー(Robo1/2/3)の組み合わせから成る様々なNELL-Robo結合の様式とそのシグナル伝達の動作原理の解明に取り組んだ。 これまでの研究において、NELL1とRobo2受容体が弱酸性条件で結合する分子構造基盤を解明して原著論文に報告したが、この組み合わせに限らず、他のRobo受容体ファミリーにおいても弱酸性で結合性が変化することがわかった。そのメカニズムについては、Robo受容体ごとに異なっており、すでに報告済みであるRobo2受容体の細胞外領域の構造変化によるものの他に、NELLリガンドの構造変化も寄与することを新たに発見した。NELL1とNELL2はRoboとの結合に関して、同等の性質を持つため、弱酸性条件で結合性が変化するNELLリガンド-Robo受容体の組み合わせは大きく拡大したことになり、これまで明らかにされていたNELL2-Robo3シグナルに加えて、pHの変動により新たなNELL-Roboシグナルが発動するシナリオが浮かび上がった。
|