研究課題
植物から放出される揮発性化合物(VOC)は、植物がコミュニケーションを図るための重要な情報ツールである。中でも、害虫に食害された植物から放出されるVOCに曝された周囲の未被害植物は害虫に対する抵抗性を高めることができるが、植物がVOCを受容・輸送し、防御遺伝子等の活性化に繋げるための作用機序は未だ不明である。そこで本研究では、植物のVOC認識・輸送・応答およびそれに伴った防御応答を担うシグナル伝達因子を同定することで、植物間コミュニケーションを介した害虫抵抗性機構の解明を試みた。本年度は、植物VOC輸送分子の同定を試みた。ハスモンヨトウ幼虫の食害によってトマト葉ではテルペン類であるピネンの放出が誘導された。本研究ではこのテルペンの細胞外輸送機構の解明を目指して、花香気成分の輸送因子であるABCトランスポーターや脂質輸送タンパク質(nsLTP)と相同性を示すトマト遺伝子(各15種)のハスモンヨトウ食害葉での発現レベルを解析した。その結果、2種のABCトランスポーターと3種のnsLTPの発現は食害によって数十~数百倍誘導された。当該ABCトランスポーターは細胞膜に、nsLTPは細胞壁に局在していた。また、16種類のトランスポーターが欠損した酵母株にABCトランスポーター候補遺伝子を相補した株では、ゲラニオールによる細胞毒性が軽減された。さらに、nsLTP候補とテルペン類の一種であるカリオフィレンは相互作用することが示された。以上の結果から、本研究では同定されたABCトランスポーターおよびnsLTP候補分子は食害時特異的にVOCの細胞外輸送を担う分子である可能性が示唆された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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