研究課題/領域番号 |
20H02952
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田中 克典 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (60273926)
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研究分担者 |
白川 昌宏 京都大学, 工学研究科, 教授 (00202119)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | タンパク質翻訳後修飾 / SUMO / セントロメア / テロメア / 染色体機能 / 分裂酵母 |
研究実績の概要 |
ゲノム情報の安定な維持・継承には、細胞分裂の際に染色体を安定に維持し、正確に分配することが肝心である。真核生物の染色体上のセントロメアおよびテロメア領域は、染色体の安定維持・分配に極めて重要である。申請者らはこれまでに、ユビキチン様タンパク質SUMOによる翻訳後修飾が、セントロメアおよびテロメアの機能制御に深く関わることを明らかにしてきた。本研究では、SUMO修飾システムがセントロメアおよびテロメア機能をどのように動的に制御するのかを分子レベルで解明することを目的とした。 SUMOの基質タンパク質の候補を絞り込むため、SUMO化経路がセントロメア機能のどの部分に関与するのかを遺伝学的に解析した結果、SUMO化は分裂期にセントロメアと微小管の接着に関与するDASH複合体と協調してM期の染色体分配を制御することが示唆された。また、SUMOとMis6は染色体分配において同経路で働き、DASH複合体と協調的に染色体分配を保証する可能性が考えられた。そこで、近位依存的なラベリング技術(BioID法)を用いたタンパク質標識の系を立ち上げ、DASH複合体やMis6とSUMOの接点を検証中である。 分裂酵母では、シェルタリン複合体構成因子Tpz1のSUMO化修飾に依存して、Stn1‐Ten1複合体がテロメア領域に結合し、テロメラーゼの作用を抑制する。これまでに、Tpz1のSUMO化消失変異とstn1ts変異の二重変異体では、テロメアが消失し染色体が自己環状化することが知られている。我々は、SUMO修飾を受けたTpz1とStn1との相互作用に必要なSIM配列領域の特定にほぼ成功し、現在最終的な証拠を生化学的に得ようとしている。 また、分裂酵母ではSUMO化修飾が、染色体の自己環状化の過程には必要でなく、環状染色体維持の仕組みに重要な役割を果たしていることを発見している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セントロメア機能にはたらくSUMO化の標的因子の絞り込みに関しては、分裂酵母でのBioID法の条件検討等を終了している。現在、テストタンパク質を用いて質量分析法によるビオチン化タンパク質の同定中である。 テロメア機能に関するSUMO化の機能に関する解析については、SUMO修飾を受けたTpz1とStn1との間のSIM配列を介した相互作用に必要なStn1上のSIM候補配列を、化学的架橋実験により検証準備中である。大腸菌でのStn1タンパク質の精製が大変難しく、さらなる検討が必要である。 さらに、SUMO化修飾が環状染色体維持の仕組みに重要な役割を果たしていることを見出しており、更なる解明も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画1:SUMO修飾システムによるセントロメア機能の動的な制御の解明 G1/S期特異的にセントロメア領域に結合する因子からの探索:「ある特定の基質タンパク質がG1/S期にSUMO化を受けることで一過的にセントロメアに局在可能となる」という観点からの基質の同定をおこなう。細胞周期をG1/S期に同調し、FlagタグもしくはTurboIDタグを付加したSUMOを発現・精製し、質量分析により標的因子を同定する。 研究計画2:SUMO修飾システムによるテロメア機能の動的な制御の解明 SUMO修飾を受けたTpz1が作用するSIM配列の特定:我々は、SUMO修飾を受けたTpz1とStn1との間にSIM配列を介した相互作用が生じることを見出し、Stn1上のSIM配列の絞り込みに成功している。そのSIM候補配列が、目的のSIMであると最終結論を出すべく、化学的架橋による検証を行う。大腸菌で発現・精製したSUMOおよびStn1タンパク質を、化学的架橋剤BS3存在下で混合し、架橋されたSUMO-Stn1複合体を単離する。質量分析により両者の架橋部位を特定し、実際にSIM候補配列にSUMOが結合している直接的な証拠を得る。SUMO及びTen1の発現精製には成功しており、今回Stn1の精製を重点的に行い、化学的架橋による検証を完了させ、結論を導く。
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