研究課題/領域番号 |
20H02983
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
戒能 洋一 筑波大学, 生命環境系, 研究員 (20183775)
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研究分担者 |
松山 茂 筑波大学, 生命環境系, 講師 (30239131)
石賀 康博 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50730256)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 寄生蜂 / ハマキコウラコマユバチ / チャノコカクモンハマキ / 誘導 / 探索行動 / エリシター / 付属腺 |
研究実績の概要 |
チャ樹の重要害虫であるチャノコカクモンハマキの雌がチャ葉の葉裏に産卵すると、チャ葉表面における化学的変化を誘導し、天敵寄生蜂ハマキコウラコマユバチ(以下寄生蜂)の探索行動を引き起こし、結果として定着させることが既に知られている。その誘導現象を引き起こす因子(エリシター)がチャノコカクモンハマキ雌成虫の腹部内容物に含まれることが示されていたが、今回、その具体的な所在を調べた。実験では、産卵に関わる生殖器系として雌生殖器を構成する4器官(卵巣小管,受精嚢,交尾嚢,付属腺)をリンガー液中で分離し、各器官をチャ葉裏面にパラフィルムで固定し、24時間処理した葉とリンガー液のみ処理したコントロール葉を直径14cmのプラスチックシャーレ内に置いた。二者選択の生物検定において雌寄生蜂をシャーレ内に放し、各葉上での行動を10分間観察した。雌蜂の行動は、行動記録用PCに歩行、静止に分けて入力し、歩行活動を行った時間で比較した。その結果、卵巣小管、受精嚢、交尾嚢のそれぞれを処理した葉での滞在時間は、コントロール葉と同程度であったが、雌生殖器全体または付属腺を処理した葉では有意に長い滞在時間が観察された。この結果は、寄生蜂の定着行動を引き起こす因子をチャ葉に誘導するエリシターが、チャノコカクモンハマキ雌成虫の付属腺に局在することを示している。すなわち、産卵と同時に付属腺由来のエリシターがチャ葉に付着して作用することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エリシターの存在場所に関しては、研究が進んだが、チャ葉表面の化学的変化に関しては生物検定法の工夫が必要で分析まで進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
エリシターの分子生物学的解析、チャ葉表面の探索行動刺激物質の解析を積極的に進めて結果を出したい。また、誘導を引き起こしている抵抗性遺伝子の発現解析も行いたい。
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