研究課題
植物培養細胞の活性酸素種(ROS)生成等を指標としたハイスループットスクリーニング系を用いて、化合物ライブラリーから新規抵抗性誘導剤候補化合物を選抜した。このうち仮称CY8は、シロイヌナズナに処理すると、濃度依存的にジャスモン酸(JA)の蓄積や、plant defensin (PDF) 1.2を含むJA経路の下流遺伝子やJAの生合成・代謝系関連遺伝子の発現を亢進した。化合物の濃度依存性や、JAの蓄積、遺伝子発現の経時変化を解析した。CY8を長時間処理した場合、シロイヌナズナ及びタバコの生育を抑制する効果を示すことが明らかとなった。同時に、条件によっては色素の沈着が見られることを見出し、CY8が色素等の二次代謝経路を活性化する可能性を見出した。CY8及び構造類縁化合物を、安価の出発物質から大量に合成する手法を確立した。蛍光標識化体を合成し、植物体内の動態を解析した。種々の構造類縁体を合成し、ジャスモン酸経路マーカー遺伝子の発現を指標として、構造活性相関解析を行い、活性に必要な化学構造の同定を進めた。またCY8結合タンパク質の同定への第一歩として、ビオチン標識化CY8を1種類合成し、シロイヌナズナの個体に対する活性を調査した。CY8を処理したシロイヌナズナは、害虫アザミウマに対する耐虫性を向上させることが明らかとなった。灰色カビ病菌に感染に対するシロイヌナズナの耐病性を検定する実験系や、灰色カビ病菌の増殖に対する影響を検定する実験系の構築を進めた。化合物処理後の遺伝子発現の変動の網羅的解析に着手した。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究代表者、研究分担者及び研究協力者の研究施設への立入が一部制限されたため、2020年度に予定した研究は一部2021年度に延期して実施したが、最終的には構造活性相関及び遺伝子発現に対する影響の解析をおおむね完了できた。
遺伝子発現に対する影響の網羅的解析実験系、大規模データ解析系を構築し、本化合物のモデル植物に対する影響を網羅的に解析する。耐病性実験系を構築し、モデル植物の耐病性に対する本化合物の効果を検証する。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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