研究課題
植物病原菌の多くは宿主となる植物の基礎的抵抗性を抑制するために、エフェクターと呼ばれる低分子タンパク質を病原力因子として分泌する。一方、抵抗性品種は、エフェクターを感知することで病原菌の侵入を認識するため、エフェクターは植物の抵抗性誘導因子としても機能する。以上のことから、エフェクターは、病原菌と植物との相互作用において重要とされてきた。本研究では、重要病原菌であるトマト葉かび病菌(Cladosporium fulvum)のエフェクターが、植物だけでなく他の微生物が分泌する分解酵素も抑制すること、すなわち、病原菌エフェクターが拮抗微生物に対する防御応答にも重要な役割を果たす、という「第三の機能」について、トマト葉かび病菌と菌寄生菌Dicyma pulvinataを用いて解析する。本年度は、トマト葉かび病菌のエフェクターAvr2と相互作用することが示唆された菌寄生菌D. pulvinataのタンパク質GLC74について形質転換系により遺伝子破壊株を作出し、菌寄生性における機能解析をおこなった。PCRによってGLC74遺伝子の変異を確認し、破壊株の培養上清に本タンパク質が分泌されないことを明らかにした。トマト葉かび病菌に対する寄生性を解析した結果、野生株と同程度の寄生性を示した。さらにAvr2以外のエフェクタータンパク質と相互作用する菌寄生菌の分泌タンパク質を同定するために、免疫沈降法とMALDI-TOF MSによる質量分析を行った。同定タンパク質の多くが細胞壁分解酵素をコードしており、病原菌はエフェクターによりこれら酵素活性を抑制している可能性が示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
bioRxiv
巻: - ページ: -
10.1101/2024.03.22.586281
10.1101/2023.08.27.554972
Frontiers in Microbiology
巻: 13 ページ: 919809
10.3389/fmicb.2022.919809
www.setsunan.ac.jp/~pp/index.html